過体重~肥満による下肢腫脹に対する漢方、弾性ストッキングおよびメドマーによる間欠的空気圧迫療法|のだ眼科・血管内科クリニック

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過体重~肥満による下肢腫脹に対する漢方、弾性ストッキングおよびメドマーによる間欠的空気圧迫療法

更新 2016.09.12

「下肢の浮腫」として受診される患者さんの中には、様々な方がいらっしゃいます。原因のはっきりしているもの、明かでないものなどいろいろです。

長い立ち仕事、座りっぱなしによる浮腫み、飲み過ぎ、食べ過ぎによる浮腫み、塩分の摂りすぎによる浮腫み、ストレス、寝不足、運動不足による浮腫みです。これらは若い方であれば生活指導によりほとんど改善するのですが、高齢者で多いのが、身体能力低下による座りっぱなしによる浮腫です。特に脚力の低下や関節痛などにより車椅子生活になった患者さんでは、施設や自宅でほとんど一日中座していることが多く、下腿の筋肉を使わない。こうした状況だと下腿静脈血の血液の鬱滞がおこり浮腫みやすい。

さて、正確には浮腫みではないのですが、「浮腫む」といって受診される患者さんのなかに、ときどき、「過体重~肥満」の方がいます。下腿においては通常、皮下脂肪の増大は起こりにくいのですが、運動不足の患者さんでは、下腿の筋肉の全般的な脂肪化、および皮下脂肪の高度貯留が生じてきます。こうした肥満により下腿の腫脹~浮腫はかなりはかなり厄介です。

こうした患者さんの多くが、高齢で、女性で、膝関節に痛みを抱えており、更に下肢の筋肉量の低下、筋肉の脂肪化によって運動能力が低下しています。厳しい食事制限を行えば、更に筋肉量が低下し、ロコモティブシンドロームに陥るのは目に見えています。こうした下肢肥満の患者さんを診察すると、皮下脂肪が硬化して動きがわるく、車椅子に座って入室してきます。

ところで、こうした患者さんの治療方法として当院では最近、防已黄耆湯の内服と、弾性ストッキングの着用、間欠的空気圧迫療法を行っています。現在は一回につき20分間で、週に3回ほど通院していただいています。

間欠的空気圧迫法は「脂肪性浮腫」に対しても用いられている治療法なのですが、これによってある変化がみられるようになりました。それは、下腿の皮膚および皮下脂肪が柔らかくなることでして。柔らかくなるとどうなるか?これによって患者さんの下肢の動きが改善してきました。また、防已黄耆湯と弾性着衣の効果なのか尿量も増え、やや浮腫んでいた下肢の腫れが改善しつつあります。

現段階では、小さな変化なのですが、こうした患者さんのほぼ全てが改善効果を実感しています。この治療にどこまでの改善効果と未来が見えるのかはいまのところ不明ですが、できればそのうちに科学的な評価を行っていきたいと考えています。