外反母趾、開張足、ハンマートウ、糖尿病足病変など・・・と「義肢装具士」さんのこと
更新 2016.09.15
先週と今週、クリニックに義肢装具士さんをお招きして患者さんの靴のことについて相談に乗ってもらいました。この義肢装具士さんは、以前にわたしが勤務していた病院にもお越しいただいてましたので、旧知の間柄です。
義肢装具士とは、「厚生労働大臣の免許を受けて、義肢装具士の名称を用いて、医師の処方の下に、義肢及び装具の装着部位の採寸・採型、製作及び身体への適合を行う人(by Wikipedia)」のことをいいます。最近だと、NHKでパラオリンピックの支援や、病気や事故で足を失った女性のおしゃれをお手伝いしている義肢装具士さんの放送があったばかりなので、イメージしやすいかもしれません。義肢装具士さんの役割は、機能回復という点では理学療法士さんの仕事にも少し似ています。(理学療法士さんが、肉体や精神、言語などを対象としているのに対して、義肢装具士さんは生体と器械の両方を対象としています)
義肢装具士さんについて、以前のわたしのイメージは、「整形外科医と協力して、手足を喪失した人のための義手・義足を作る医療関係者」というものでした。しかし、わたしがフットケア、フットウェアという概念と出会い、その後、義肢装具士さんと、いっしょに仕事をするようになってみると義手・義足だけではないということを知りました。
現在、わたしの「義肢装具士さん」に対する解釈は拡大しており、「肢や手足などの形態的な変化により、失われた身体機能に対して装具を作成したり、適合させたりして、回復させる手助けしてくれる人」となっています。
ところで、今のクリニックには巻き爪や胼胝へのフットケアを求めていらっしゃる患者さんが多いのですが、その方たちは同時に外反母趾や開張足などでも悩んでいらっしゃいます。
実際、多くの方が悩みを抱えているにもかかわらず、どうしたらそれを解決できるのか知らないでいることは、実に多いです。患者さんのなかにはかなりひどい外反母趾の方でも、それが医学的な治療の対象になることもあるとは知らずに、市販されている外反母趾グッズを何種類を試したり、それでだめなら我慢していることが殆どです。義肢装具士さんは、こうした患者さんに正しい装具を与え、さらに適合してくれるのでとても助かります。
いまは、百円均一ショップにいけば、さまざまなフットケア用品を入手できるので便利な世の中になりました。しかし、義肢装具士さんの仕事ぶりを実際に間近で観察していると、医師からみても「さすが、プロ!」と感心します。(わたしのレベルが低いというだけの話かもしれませんが・・・)
「義肢装具士に一度相談してみること」
足の変形により、痛い、歩行がうまくできずに困っている。本当に自分の足にあった靴をお探ししている人には是非オススメですで、一度相談する価値があると思います。
以下、余談です。
ずっと以前の話になってしまいますが、外来に来た患者さんとたまたま足の変形と靴の話になった際、中敷きの話になりました。患者さん(高齢のご婦人です)は「以前、訪問販売で購入した」といってある中敷きを見せてくれたのですが、それは黒のプラスチック製で、見た目は「思いっきりチャチイ・・・」というシロモノでした。患者さんは、大まじめに「これが3万した!」とおっしゃいます。
「いくら何でもこれに3万円は無いだろう・・・」とツッコミたくなりました。
あるいは患者さんが話を盛っているという可能性もありましたが、本当だったら患者さんがかわいそうなので、とても「チャチイですね」とは言えませんでした。
考えてみると、セールスマンがよほど売り込み上手だったか、あるいは、患者さんは外反母趾の足にあう靴がなくて、歩くと痛くてよっぽど困っていたか・・・などとは容易に推察されますが、随分な話です。
実は、わたしの経験とほとんど同じ話を、フットケアに携わる別の先生の講演(それも複数!)でも聴いたことがあります。きっと各地で発生していた事象なのでしょう。その最高額はなんと「9万円」でした!世の中は広い。でも、ネットで検索してたら、昨年書かれたとあるブログで同じものを購入した人がいて、なおびっくり!それも「10万円で」という・・・いったいどんな世界なのかと思って調べたら、ネットにいろいろな事が書いてあり納得!
それでは。
(調べたい方は、「超高額なインソール」というキーワードで検索してください)