介護認定審査会に参加していて思ったこと|のだ眼科・血管内科クリニック

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介護認定審査会に参加していて思ったこと

更新 2023.06.04

介護保険の認定審査委員をやっています。

私は2019年4月より介護保険の認定審査会に携わっています。

日々の診療において「介護保険」で提供されるサービスを上手に利用することは、とても重要です。

外来診療の現場では、年齢と共に患者さんの体力が低下し、動きが制限され、記憶力が衰えていく様子を見てきました。そうした中「これ以上、体力や認知力が低下すると良くないなぁ…」と心配になる患者さんが増えてきています。

こうした方々に対して、私は積極的に介護保険の申請をお勧めしています。介護保険を活用することで、例えばデイサービスを利用することが可能となります。私の経験からすると、デイサービスへの参加は患者さんにとって、プラスとなることが多いです。そこでは、食事や入浴、レクリエーション、リハビリといった様々なサービスを受けながら、利用者同士の交流が深まり、社会とのつながりを保つことができます。

また、患者さん自身の心身の健康を維持・向上させるだけでなく、家族の負担軽減にも繋がります。高齢化が進む社会において、私たちは誰もがいつか介護の必要性に直面する可能性があります。だからこそ、早めの対策として介護保険の活用をお勧めするわけです。

介護保険の申請からサービスをうけるまで

ところで、介護保険の認定を受けるためには、以下のような手続きが必要となります。

申請:必要な介護サービスを受けるためには、お住まいの保険者(市区町村)に申請をだします。専用の申請書に記入し、必要な書類(主治医意見書など)を添えて提出します。

要介護認定調査: 申請が受理されると、保険者から派遣される訪問調査員が、申請者の自宅などで介護が必要な状況を詳しく調査します。調査の内容は、申請者の日常生活動作(ADL)の能力や認知機能などを確認します。

要介護状態の判定: 調査結果を基に、専門の機関(ケアマネージャーなどが参加する要介護認定審査会)が申請者の要介護状態を判定します。要介護度は「要支援1・2」、「要介護1~5」の7段階で評価され、その評価結果が介護サービスの範囲と量を決定します。(調査の結果「非該当」となることもあります)

結果の通知とサービス利用の手続き: 認定結果は、申請者に通知されます。認定された要介護度に応じて、必要な介護サービスを選択・利用することができます。利用するサービスについては、ケアマネージャーと一緒に介護計画(ケアプラン)を作成します。

ケアプランの実行とフォローアップ: ケアプランに従って各種サービスが提供され、定期的にケアマネージャーがフォローアップを行い、必要に応じてケアプランを見直します。

主治医意見書の重要性

介護保険の申請では、主治医の意見書がとても大切です。これは、申請者の健康状態、病気の具体的な情報、日々の生活でどの程度の介護や助けが必要かを詳しく書いたものです。これにより、どの程度介護が必要かを判断することから、この意見書がとても重要な役割を果たします。

しかし、この主治医意見書に問題があることがあります。一部の医師は、意見書を十分に詳しく記入してくれないので、参考にならないことがあります。時には1行のみしか書かない、あるいは処方箋のみということもあります。

最近、介護認定審査会で次のような事例がありました。

これまで「要支援2」の認定を受け、デイサービスを利用していた方が、介護保険の更新時のために審査となりました。ところが、今回は「非該当」になってしまったのです。そうすると、これまで利用していたデイサービスが利用できなくなります。

訪問調査員の方がそういった事情がわかっていたどうかはわかりません。ただし、訪問調査員の点数の付け方については個人差があるのも事実です。今回は「要支援2」→「非該当」と判断されました。

審査委員会では少なくとも「要支援1」にはできないかと考え、工夫を重ねました。しかし、主治医の意見書からは、申請者の状況はほとんど書かれてなかったので、意見を反映させたり、考慮すべきところがありませんでした。結果として「非該当」の決定になってしまいました。

主治医意見書は、申請者の必要な介護や治療、そしてこれから必要となるケアの内容と範囲を判断するための重要な情報源です。状況が伝わらないような書類で終えてしまっていたのは、とても残念なことだと感ぜられました。

このような事例を見ると、「どの医師に主治医意見書を書いてもらうか?」という選択は大切であることを痛感します。

おまけ

ちなみに、you tube で有名な「長谷川嘉哉(登録者数5.7万人、動画198本)」先生が、介護認定審査についてご自身の見解を述べられていらっしゃいました。

岐阜県土岐市で認知症専門医、脳神経内科医として開業されている先生です。いろいろと気になるお話をされていてます。

さすがに「弘前市はずっとましだなぁ・・・」と思いますが、反省しなければならないことも多く、勉強になります。面白いので是非ともごらんになってください。

長谷川嘉哉チャンネル「ボケ日和 転ばぬ先の知恵」

https://www.youtube.com/@toki214