久しぶりのブログ更新|のだ眼科・血管内科クリニック

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久しぶりのブログ更新

更新 2018.08.21

久しぶりのブログ更新です。

当クリニックでは現在、「下肢静脈瘤に対する血管内レーザー焼灼術」を行っています。これは昨年11月からの開始となりましたが、これまでのところ順調に推移しています。

下肢静脈瘤に対する治療としては、これまではストッキング、漢方診療、フォーム硬化療法で診療をおこなっていましたが、さらに血管内焼灼術が加わったことによって、診療の範囲が拡がり、さらに質も向上しつつあることを実感しています。

カテーテル治療医としては充実した診療が行えるようになりうれしい限りです。

ところで、先日は実に様々な患者さんが来院された一日でした。

1人目は、高齢の女性で、先日、朝起きた時に突然両側首筋の痛みの自覚あり、その後数日たってから、38.6℃の発熱を認めたとのことでした。

痛みは「ズキンズキンと頭に響く」」ような感じ。「首の痛み」で自分のあたまを持ち上げることができない。ひとりで起き上がれず、夫に支えてもらって起きているという状態。「寝返りもできない」とのことでした。

めまい、立ちくらみ、ふらつきは特にないとのことでした。

血圧は100/56mmHgで正常範囲。

「側頭動脈炎?」などと考え、側頭部を触診しましたが特に痛みの訴えはありませんでした。

首を回すと痛い、発熱がみられるといったことから、ある疾患を疑い頭部 CT および頚椎 CT を施行。また採血オーダーを提出。

CT検査の結果では、第2頚椎の歯突起背側に帯状の石灰沈着が描出されていました。これらから、「Crowned dens syndrome(クラウンド・デンス症候群)」疑いとしました。

よってステロイド、消炎鎮痛剤を投与としました。

この点「 Crowned dens syndrome」 という病気ですが、「ピロリン酸カルシウム」という物質が第2頸椎の歯突起後方に沈着することによって、生じる疾患と言われています。

これは、偽痛風の一つで、「環軸関節の偽痛風」とされています。

実は、数ヶ月前に、全く同じような患者さん、すなわち「高齢女性+発熱+頭部-頚部痛」で来院した患者さんを、同じように診断、治療したところ、痛みが立ちどころに消失!・・・という経験があったのでした。この患者さんは、たまたま下肢静脈瘤の治療をおこなったことのある患者さんで、別の診療所でも治療したが、よくならないということで受診されました。これもCTを撮影したところ、同じような第2頸椎の歯突起周囲に石灰化を認め、ステロイド、消炎鎮痛剤がかなり効果ありました。

「熱もなくなり、いままでの痛みはなんだったのか?嘘のようによくなった」といわれ、かなりうれしかったことを良く覚えています。

ということでした。ついでいえば、この日は、他にも偶然見つけた腎腫瘍(おそらくは腎血管脂肪腫疑い)、本人も無自覚だった変形性股関節症などなど、CT検査装置がとても活躍した一日でした。

Crownd dens 症候群

第2頸椎(軸椎)の歯突起の右側(背側)に帯状の白く映る物質がある。(矢印)

「偽痛風」を含めた結晶誘発性関節炎の一つ。

高齢、発熱、強い頸部痛を認めれば、CT検査を行って診断をつけるべき病気です。一般にステロイドと消炎鎮痛剤がとても良く効きます。