院長ブログ


青森県 最下位脱出ならず 

 2015年の都道府県別平均寿命が発表になった。

 今回は長寿グループでは男性1位が長野県と滋賀県が入れ替わりました。女性1位は今回も長野県でした。

 

 今回こそは!と期待されていた青森県ですが、残念ながら今回も男女ともに最下位でした。

 

 青森県が短命県であることは、全国的にも有名になってます。

 短命の理由として塩分の摂り過ぎとか、カップラーメンが好き過ぎとか、喫煙率だとか、酒好きだとかいろいろと取りざたされています。県も減塩推進事業として「だし活!、健活!」、知事までも「だし活」だとかでテレビ出演されています。

  今回の発表では青森県の男性は78.67歳、女性が85.97歳でした。これは2005年における全国平均に相当します。すなわち青森県は10年ほど遅れてることになります。

たかが10年、されど10年なのか・・・・・?

わたしが医師になったばかりの1990年頃には男性全国平均が75.92歳、女性全国平均が81.90歳でしたので、その頃に較べると今の青森県民はかなり長生きです。たしかに塩分摂取量はその頃と比較すると徐々に減少していると思います。

ただし、塩分摂取量の違いだけが寿命に影響しているわけではないのでは・・・?

塩分摂取量だけみたら実は青森県民より長野県民の方が多いという調査があります。


  マクロ的にみると人間の寿命に大きく関わるのは、公衆衛生、教育、災害、経済などの環境要因と思います。しかし、ここ20-30年間で考えると日本全体の衛生環境は大きくな変化は有りません。日本人の寿命が延びてきたのは、基本的には新薬や新しい治療技術の開発、医療技術の進歩、それに健康教育によるものと思われます。

 「青森県は全国平均よりも10年遅れているけど、寿命は着実に寿命は延びている」と思えばどうなのでしょうか?

 

 さて一方、高齢化社会を迎え、現実的に問題となるのが生活費や介護など老後にかかるお金でしょうか?

 以前、介護運営サイトで老後にかかる経費を調べたことがあります。

すると以下のような結果でした。

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青森県の有料老人ホーム・介護施設 599件

長野県の有料老人ホーム・介護施設 682件

東京都の有料老人ホーム・介護施設 2,112件

 

青森市周辺の老人ホーム、介護施設の平均相場 

今すぐ入居可は 25件

入居一時金1万円 月額利用料 7.5万円 

 

長野市周辺の老人ホーム、介護施設平均相場

入居一時金 261万円 月額利用料 17.3万円

松本市 263万円、19.9万円

 

東京23区の老人ホーム、介護施設平均相場

大田区 659万円、月額 26.5万円

足立区 177万円 18.0万円

港区 1544万円 41.9万円

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青森県は人口比で考えると老人ホーム、介護施設の件数はかなり多いです。

 

上のグラフをみても量的サービスは充実していると言えます。

更に、青森県はサービスを老後にかかる費用についていえばかなり低額です!

 

都会と比較するとサービスはそれなりなのかもしれませんが、老後にそれほどお金がかからないというのも大事なポイントではないかと思います。

 

 青森県も短命県をアピールするよりも、老後にかかる負担が軽いという点を全国にアピールしてもよいのではないかと・・・考えますが、如何でしょうか?

  

以下、NHKの記事からの引用です。

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 都道府県別の平均寿命 最長は滋賀(男性)長野(女性)

12月13日 15時47分

 

全国の都道府県のうち、おととし、最も平均寿命が長かったのは、男性が滋賀、女性は長野だったことが厚生労働省の調査でわかりました。一方、平均寿命が最も短かったのは男女ともに青森でした。

 

厚生労働省は、5年に1度、都道府県ごとの平均寿命を調査していて、今回はおととしの時点の結果を公表しました。

 

それによりますと、男性で平均寿命が最も長かったのは滋賀で81.78歳、次いで長野が81.75歳、京都が81.40歳となり、女性では、長野が87.675歳、次いで岡山が87.673歳、島根が87.64歳となりました。

 

一方、平均寿命が最も短かったのは、男性では青森で78.67歳、次いで秋田が79.51歳、岩手が79.86歳で、女性でも最も短かったのは、青森で85.93歳、次いで栃木が86.24歳、茨城が86.33歳でした。

青森は、男性が昭和50年以降9回連続、女性は平成12年以降4回連続で平均寿命が最も短くなっています。

 

青森と平均寿命が最も長かった県との差は、男性が3.11歳、女性は1.74歳でした。

 

また前回、5年前の調査と比べると、すべての都道府県で平均寿命が伸び、全国の平均は、男性が80.77歳、女性が87.01歳となっています。

 

厚生労働省は「平均寿命が長い県は、食事で塩分の摂取量が少なかったり喫煙率が低いなどの傾向が見られ、こうした動きを全国に広げていきたい」と話しています。

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とある元老教授の科学的推察力

すこし古い話ですが、先の国政選挙の直前に遭遇した話をご紹介します。

その日、私は弘前駅前のホテル(※1)を会場とする青森県糖尿病週間の関連企画の学術講演会への参加を予定していました。

駅前エリアに行くついでに事前投票をしてしまおうとの思いから、早めに自宅を出発して事前投票会場の一つである弘前駅前公共施設「ヒロロスクエア(2)」へと向かいました。時あたかも時季外れの巨大台風が選挙日当日を直撃するという天気予報が出されていたこともあってか、事前投票会場は想像以上に混雑していました。

 

「思ったよりも混んでるな・・・投票を済ませるまでにあとどれくらいかかるのだろう。果たして講演会の開催時に間に合うかな?」

 

と若干不安を覚えつつも、行列最後尾の老紳士のあとに私は並びました。

 

手には投票受付用のはがきを持ちしばらく静かに並んでいると、選挙管理委員が行列を整理しながら、列の前のほうの数名にクリップボードとボールペンを手渡していました。どうやら選挙受付はがきにあらかじめ必要事項を記入してこなかった・・・・準備の悪い人間のために事前に住所、氏名を記入することを勧めているようでした。

 私も当然のように準備の悪い人間のひとりであるので、件の女性選挙管理委員からクリップボードとボールペンを受け取り、そしてついでに尋ねました。

 

「投票を終えるまでには、あとどれくらいかかりそうですか?」

 

「だいたい、7分くらいだと思いますけど・・・」

 

とのお返事でした。

 

「それなら、講演会の開始時間に十分間に合うな・・・」と不安が解消されたので、安心して受付はがぎに記入を始めました。

 

ふと、気が付くと私の目前の老紳士は、だいぶ以前に退官された弘前大学の元教授でした。元教授(3)は市内の学術講演会などにたびたび参加されており、よくよくお見受けする方です。時間も少しあるので、思い切って元教授に話しかけてみました。元教授は、「オヤッ」というお顔をされましたが・・・私のことを市内の学術講演会でよく会う医師であるということを認識してくれていたらしく、会話に応じてくれました。 

 

私:「結構・・・、並んでますね。」

 

元教授:「そうですね。」

 

私:「ちょっと待つみたいですね。」

 

というと彼はこう答えました。

 

元教授:「私もどんくらい待つのかな?と思ってさっきから観察していたんですよ。会場から出てくるかを数えていたら、分間に4-5人出てくるんですよ。それで、自分の前に待っている人数をざっと数えて、・・・・(たぶん 40-50 人くらいだったと思う)・・・・あと 10 分くらいだと思うんですよ。」

 

私:「・・・へぇ、そうですか、凄いですね・・・」

 

そう、元教授は単位時間当たりに投票所から出てくる人数を計測し、そして自分の並ぶ列の人数の概数を観察。その結果から、自分の推定待ち時間を算出したのでした。「待ち時間はどれくらいか?」という未知の情報を得るために、元教授は私とはまったく異なるスタンスをとっていたのでした。

 

「未知」なるものの情報を得たいと思ったとき、人はどのように思考し、どのような行動をとるでしょうかね?

 昨今、インターネットを通じて得られる情報量は等比級数的に増大!加えてスマートフォンやタブレットが開発されたことにより、ネットには簡単にアクセスできるようになりました。検索ワードを入力するだけで瞬時に必要な情報を取り出すことができます。それは、あまりに簡便であり、さらに情報量も圧倒的です。必要な情報はおおむねネットから収集できます。現在のように高度に情報化された社会においては、私たちはネットからの情報収集力に長け、それを使いこなすことが大事なスキルであると考えています。ネットからの情報収集が困難な人々を「デジタルデバイド(4)」だとか、「情弱(5)」だとか呼称して、差別して考えがちである。ネットへのアクセスと、情報処理を繰り返していると、「未知」に出くわした際、次にとるべき行動は「調べる」あるいは「尋ねる」・・・になりがちです。

 

それでは、元教授はどうだったか?彼は「観察して、推論する」という行動をとりました。「未知」なるもののいくつかはネットを探しても見つからない。「未知」に出くわしたときの行動にこそ、本当の能力の違いがでるとおもいます。

元教授は世代的には「デジタルデバイド」や「情弱」だとは思うのですが、問題解決能力については決して弱者では有りません。

むしろネットに依存し過ぎない人間のほうが、「未知なるもの」に対峙したときの対処能力が発揮されるように思われます。ネットへの偏重と依存は自分で推察することを放棄する危険性を孕んでいる・・・といったら言い過ぎでしょうか?

 

後日、元教授の年齢を調べてみると、実に齢 85 歳でした。「超後期高齢者!」でした。しかし、そもそも「高齢者」という括りは、このお方にとってはあまりに失礼ですね。

 その科学的推察力は強者(ツワモノ)のそれでした。彼がそのように推察した背景を考えると、おそらく普段から「自分の目で見て、自分の頭で考える。」という思考訓練を怠っていないのでしょう。素直に尊敬いたします。自分が 85 歳のとき(生きているかどうかもわからないが)、この元教授のようにできるとは到底思えません。

なにはともあれ、自分の目で見て、自分の頭で考えることがいかに大事かということを思い知る出来事でした。

 

 

1)駅前のホテル:(現アートホテル弘前シティ、旧:ホテルナクアシティ弘前、旧旧:ベストウエスタンホテルニューシティ弘前、旧旧旧:シティ弘前ホテル)1989 年に旧東急建設が弘前市駅前にオープンさせたホテル。ホテル内に複数の店舗、会議場、バンケット部門、そしてプールやフィットネス部門を有しており、ビジネスホテルとは一線を画していた。2008 年、弘前駅前に東横イン、ルートインホテルズが進出(他、ドーミーインやスーパーホテルも進出)したことにより、それ以降は客室数が供給過剰となっている。そのためか、経営が安定しないのかもしれない。

 

2)ヒロロスクエア:ヒロロは、青森県弘前市駅前にある複合商業施設。ヒロロスクエアはその 3階に設置されている行政フロアのこと。弘前市はこのスペースの利用にあたり年間 3400 万円の予算を計上しているとのこと。

 

3)元教授:1997 年に弘前大学の教授を定年退官された。現在は、介護老人保健施設長を務める傍ら、ヒロロスクエアで時々「無料健康相談」を開催している。

 

4)デジタルデバイド:情報通信技術を利用して恩恵を受ける者と、利用できずに恩恵を受けられない者との間に生ずる、知識・機会・貧富などの格差。

 

5)情弱(じょうじゃく):「情報弱者(じょうほうじゃくしゃ)」の略称。情報環境が良くない場所に住んでいたり、情報リテラシーやメディアリテラシーに関する知識や能力が十分でないために、インターネット等から必要な情報を享受できていない人。

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骨粗鬆症ネットワークを考える会


 今日は木曜日なので午後はお休みです。4月より新たに「のだ眼科・血管内科クリニック」に勤務していただく方がおいでになりました。皆さん女性です。リハビリ室に集まって頂き、社労士さんに入職の説明をしていただきました。

 

 その後は外カテに出向き、下肢動脈狭窄に対する血管ステント治療、および喀血~血痰に対する塞栓術を行いました。

 どちらもまずまずうまくいき終了。

 

 夜は「第2回 弘前骨粗鬆症ネットワークを考える会」に参加しました。会場の広さの問題もありましたが、参加者が溢れるくらいでとても多かったのが印象的でした。

 参加者の中には学生さんも見えましたが、殆どは歯科医、歯科口腔外科医、整形外科医、そして婦人科医の先生方でした。内科系の先生は見渡・・・・してもわたし一人だけ・・でした。残念。内科的には非常に重要な話だったのだけれど・・・。

 

 講演は左記の二つに加えて、歯科口腔外科教授による骨吸収抑制薬関連顎骨壊死(ARONJ:アロンジェと読む)の臨床例のお話ですが、大変興味をもってきくことができました。

 

 会に参加してよかったなぁと思ったのは、日頃、骨粗鬆症についてなんとかく疑問に思っていても解決せずにいたことを整理してなんとか覚えよう・・・という、きっかけ作りになりました。

 自宅に帰り、早速ネットから「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015」をダウンロードして、ざっくりと目を通すなどの行動をとった・・・と言う点では成果がありました。

 

 ひとつ面白い用語を聞く事ができたのも、成果・・・「骨血管脂質連関」(←なんだこれ?)

 血管内科を標榜する身としては非常に気になります。以前から脂質のことも気になっていましたし・・・。

 

 もうすこししたら、これに関する論文をいただけることになっていますが、さっくりいうと、脂質代謝異常を来している方は数年後に骨粗鬆症を発症しやすいというものらしいです。

 

 以前わたしが実習にいっていたところの先生は、骨粗鬆症のスクリーニングをしっかりとやっておられたので、わたしもそれに習うように、やっていました。特に閉経後の女性患者さんについてはできるだけ、骨粗鬆症の検査をお勧めし、もし必要があればお薬を処方していました。ですが、今回の会に参加してみて、やはり骨粗鬆症はどうやら寿命と生活の質に大きく影響するということをはっきりと認識できましので、これまで以上に注視し、積極的に治療してみようという気持ちになりました。


「骨-脂肪-血管連関」という概念がある。これは骨,脂肪および血管のそれぞれの病態として骨粗鬆症,内臓脂肪肥満,動脈硬化症を考えた時,その共通な背景にmetaflammation (metabolically triggered inflammation)が存在するという考え方である。

 

閉経後女性では総コレステロール,またはLDL-コレステロールが異常高値を示す群では正常値を示す群に比べて骨密度,および後の1年間の骨密度変化値(減少値)が有意に大きい。このことは体格指数が高くても脂質代謝異常がある場合は骨へ悪い影響があることを示している。

 


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「短命県返上」のヒントになるか?外来での栄養指導から見えてくる人と人のつながりの重要性。


 以前のブログにて「栄養指導は薬と同じと考える」ということを述べましたが、この薬も効果がある人とない人がいます。

 処方される本人自身が栄養指導に「興味がある」、「興味がない」ということは一つの指標にはなりますが、それ以外で実はもっと重要なことがあります。

 

 高血圧で通院している高齢男性患者さん。降圧剤を処方していますが、慢性疾患指導として減塩の重要性についてもたびたびお話しています。その内に御本人も次第に食事のことが気になってきたようで、あるとき「一度、栄養指導を受けたい」という話になりました。

 その後、3日間の食事記録を記入してもらい管理栄養士に指導してもらうこととなりました。その後、数回の栄養指導を行っているのですが、食事記録の方は殆ど変わっていないようです。「食事記録をみると栄養指導をしても、あまり変わってはいないようですね。」と・・・決して咎める口調で話したわけでは無かったのですが、いろいろと話を伺うとどうやら、同居している家族との折り合いがあまり良くない。

 食事はお嫁さんが用意してくれるらしいのですが、自分から食べたいものを提案できるような状況ではないようです。なので、食事指導の際に、お嫁さんが同席してくれるようなことはまずありません。高血圧で通院していることもはっきりとは伝えてないようです。「血圧の食事療法のため、嫁さんに病院まで来てくれ、とか、塩分の少ない食事を準備してくれとはとても言い出せない」ということでした。

 

 雰囲気からはなんとなくですが、昔は色々な出来事・・・嫁舅問題?があり・・・長い年月を経て関係がすっかり悪くなってしまったのではないかと想像できます。

 こういった方への栄養指導はとれも難しいです。

 

 かと思うと・・・・

 

 会社の健診でヘモグロビンA1cの高値を指摘された30代男性。体重は100kg以上で、タバコも吸っています。恐らく糖尿病を発症していると思われましたが、やはり検査の結果はⅡ型糖尿病の診断でした。

 検査結果説明の外来当日。たぶん検査の結果を一人で聞くのがよほど不安だったでしょうか。奥さんと小さなお子さんも一緒に見えられました。 そこで、「今回の検査では、糖尿病であること。これから長い治療が必要であること」を告げると、奥さんが「ああ・・・やっぱり!」という顔をされました。それと同時に奥さんの顔は、「これまで野放図に食べていた夫の食事を管理し、この糖尿病(この腹を?)をなんとかしなければ!」という決意に充ち満ちていました。この患者さんは、ヘモグロビンA1cの値がかなり高かったので、食事指導だけでなく、薬物療法も必要でしたが、治療が始まると、数ヶ月でヘモグロビンA1cの数値はみるみると低下。体重も10kg以上の減量でき、顔も引き締まってきました。タバコは減量中であり、治療はまだ過程ではありますが、かなり順調に経過しています。

 こうした方への栄養指導はとても張り合いがあります。

 

おそらく、上記のようなことはよくよくあることです。

人はだれでも病気になるとは思います。病気になったときこそ、その人のサポーターがいるかいないか、これはとても大事な問題です。人と人とのつながりは、長寿・健康を考えていく上で、以前考えていた以上に重要な要素なのだと考えるようになりました。

 

 ですので、最近は、慢性疾患の指導においては家庭環境を確認し、本人がどのような家庭環境にあるのかを確認することはとても重要なのだと考えています。

 

 先日、石川雄一先生のことをこのブログで御紹介しましたが、彼のご子息・・・石川善樹先生がTEDX UTokyoで「人と人とのつながりがあることが長寿の秘訣である」ことを述べられています。「つながりがある」ことの長寿への影響度は大きいようです。

影響度の順から言うと、つながり>タバコ>酒>運動>肥満の順になるそうです。意外な結果には驚かされましたが、上記のような経験を踏まえてみれば、なるほど!とも感じ取れます。

 

 「短命県返上!」キャンペーンの青森県ですが、いまいろいろな健康、健診事業をたくさん行っています。

 このなかでは悪性腫瘍、高血圧、糖尿病、喫煙、脂質異常など病気を起こす要素を排除していくことに重点が置かれています。しかし、視点を変えて、健康・長寿を「つながりがあるかどうか?」という点から考えると新しい問題解決の糸口が見えてくるかもしれません。医師もこのような視点を持つべきではないかと考えます。

 

↓に石川善樹先生の動画をリンクしました。参考にされてください。


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「ポリファーマシー」を御存知ですか?


 

リファーマシーという言葉を御存知ですか?

 

 以前にNHKの朝のニュースの「けんコン!」のコーナーでも取りあげられてもいたので、御存知の方もいらっしゃるかもしれません。

(平成29年1月17日(火曜日))↑外部リンクです。

 

「ポリファーマシー」は日本語訳しますと、「多剤併用、多剤処方」となります。

 

 ところで、「歩くと足が痛いから・・・」、「足がむくみから・・・」とか、「しびれを何とかして欲しい・・・」などという症状で御高齢の方が受診された場合、当院では必ず「お薬手帳」を確認しています。

 お薬手帳は非常に便利な手帳です。その患者さんがご自分の病名をいちいち覚えていなくても、しっかりと管理された手帳さえあれば、その方がこれまでどのような病名で、どんな医療機関を受診しているのか?ということがわかるようになっています。

 とても大事なお薬手帳ではありますが、患者さんの症状を改善しようとして、新たな薬を処方しようとすると、既に7種類以上の薬を服用されている患者さんもいます。こうしたときには、一体どうしたらよいものか・・・と患者さんを目の前にしばらく考え込んでしまうこともあります。

 

 そういったことがおこる背景にはいろいろな原因があります。

 第一には「高齢」という問題。人は誰も高齢になれば身体の臓器機能や新陳代謝は衰え、ホルモンや免疫のバランスも崩れやすくなります。このため、高血圧だとか、脂質異常症、糖尿病、動脈硬化、骨粗鬆症、そして認知症などを発症していきます。年を取るとはそういうことです。そして、加齢とともに一つ一つ病気を発症。それに伴い一つ一つお薬が増えていくことになります。

 それを後押ししているのが、「診療ガイドライン」の存在です。医療先進国日本では、それぞれの病気について、それぞれの「学会」例えば、「動脈硬化」、「高血圧」とか「糖尿病」の病名「学会」を続けたものが数多くあり、それぞれの学会ごとに個別の病気に関しての「診療ガイドライン」が非常に綿密に作成されています。

 そして、それぞれの疾患についてガイドラインを遵守しながら治療していくと、その疾患については標準的な良い診療ができるようになっています、ガイドラインでは、学術論文という様々な研究の成果に基づき、さまざまな種類のお薬、さまざまな治療方法が示されているので、非常に頼りになる存在です。それぞれのガイドラインに基づいて診療する限り、疾患の数が増えれば増えるほど薬物が増えていくことになります。しかしながら、ガイドラインはあくまで個別です。「高血圧と糖尿病を併存している患者のガイドライン」とか、「高コレステロール血症と高尿酸血症の診療ガイドライン」というのがあるわけではありません。

 さらに、日本は世界に誇るべきヘルスケアシステム。

 

すなわち「国民皆保険制度」を構築しています。「国民皆保険制度」の特長は、

①国民全員を公的医療保険で保障

フリーアクセス

③非常に安く高度な医療の提供

④社会保険形式を基本としながら公費を投入している

 以上でありこれによって世界最高レベルの平均寿命を達成しているのは紛れもない事実だと思います。

 

 このことによって・・・幸か不幸かわかりませんが、以下のようなことが生じてきます。あくまでたとえ話としてですが、

 

 高血圧、胃がん術後で内科に通院している患者さんが、腰から足にかけて痛みがあるということで、整形外科を受診。すると「腰部脊柱管狭窄症」ということで痛みをとるためのお薬を処方。その後、尿が出づらくなったということを内科の担当医に相談したところ、泌尿器科受診を薦められ・・・泌尿器科では「前立腺肥大」の診断となり、薬を処方。その後、整形外科の先生に、歩行時の足の痛みは若干よくなったが、それでも完全にはよくならないことを相談したところ、別の医院を紹介され、「動脈硬化」ということで投薬と手術を薦められ・・・などという繰り返しによって次第次第に内服薬が増えていくようになります。

 そのため、A医院で高血圧と胃腸のお薬、Bクリニックで消炎鎮痛剤と湿布、C診療所で前立腺肥大の薬、D医院で血液サラサラの薬・・・・などということが起こるようになってきます。

 この過程において医師および医療関係者はそれぞれが自分の役割をしっかりと果たすべく、善意をもって振る舞っています。しかし、結果として「その患者さんに対する医療としては統合されていない」という印象を強く持ちます。

 

 多剤を併用している患者さんの反応は様々です。ある患者さんは医師と面談し、検査を行い、薬をもらうことで安心(※)が得られ、とても満足します。薬を呑むことではなく、薬を処方してもらうこと、その行為がある種の治療になっているものと思われます。

 しかし、別の患者さんは、「また薬が増えた!すでに馬に喰わせるくらいに薬を出されているのに!」と不安と不満を、特に医師以外のスタッフに対して訴えたりします。

 このため、薬を処方されても数回服用しただけで、全く服用しなかったり、自宅に沢山の残薬を抱えているひともいます。

 ポリファーマシーが患者さんの生命予後に良い影響を与えているのか、悪い影響を与えているのかは、なかなか結論を出しがたい状況といわれています(この辺が難しいところのようです)。ただし、高齢者においては7種類以上の薬物はきちんと服用できていない可能性が高く、代謝の問題から薬同士の飲み合わせの問題が起こりやすいといわれています。

 

 「ポリファーマシー」という言葉は、薬剤師の先生方にとっては常識であり、取り組むべき重要課題となっています。しかしながら、医師にとっては・・・まだまだ現状ではそのようになっていない状況だと感じています。

 「まず自らが正すべきである!」という前置きの上で述べますが、自分の専門の薬を処方したり、減薬したりする事については何の抵抗もないのですが、専門外の薬についてはどうしたらよいか、わかりにくく、また取り組みがたい状況です。

 

 そんなこんなで、お薬のことを熟知し、ポリファーマシーについて真剣に取り組まれている薬剤師の先生と、是非一度じっくりとお話をする機会を得たいと思う今日この頃です。

 

おまけ

ちなみに、ポリファーマシーについてのガイドラインもあります。(外部リンク:下の文字をクリックして下さい。)

 

「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」

 

というのがそれです。ただし143ページもあるガイドラインなので、通読して実践するにはなかなか骨が折れそうです。

 

なお、不適切な薬剤の使用に関する方法論としては、下記のような手法があります。

(青島周一の「これで解決!ポリファーマシー」より・・・JAMA Intern Med.2015;175(5):827-34)

(1)患者が現在使用している全ての薬剤について、処方理由を再確認する。

(2)個々の患者における薬剤有害事象の全体的なリスクを把握し、積極的に介入をすべきかを評価する。

(3)各薬剤における、潜在的なリスクとベネフィットを評価し、中止の妥当性について検討する。

(4)低リスク・高ベネフィット、退薬症状、患者の希望などを考慮して中止薬剤の優先順位を決める。

 (5)中止レジメンを実行し、アウトカムの改善や副作用発現のために注意深く患者を観察する。

以上です。

 

 

(※)「安全」と「安心」については最近語られることが多くなってきています。安全とは、「“危険の少ない現実”が守られている状態」のこと。安心とは、「大丈夫と感じている心や気持ちの状態」のこと。安全の確保には手間とお金がかかるものですが、安心は「心」の問題なので、さらに手間もお金も時間もかかります。合理的とは言えない部分もありますが、なかなか難しい問題です。


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「栄養指導は治療薬」と考える・・・定期的に服用することで効果が持続する。また過量に服用すると副作用がでることもある。


 当院には管理栄養士が常勤しています。以前のブログでも述べましたが、わたしは栄養学については素人ですので、糖尿病、高血圧症、脂質異常症、高尿酸血症など食事指導が必要な患者さんについては管理栄養士さんに指導をお願いしています。

 わたしが管理栄養士さんに指示していることは、栄養指導の目的と到達目標、また患者さん自らが考えて行動が変化するようにしむけるような指導を行ってもらう(専門的には「行動変容を促す」といいます)ことです。実際の栄養指導の中身、例えば、炭水化物、脂質、タンパク質の割合や総カロリーの計算などは一任しています。指示を受けた管理栄養士さんは徹底的に栄養指導をおこなってくれます。栄養指導を開始したら、綿密なスケジュール管理のもとに経過をみながら目標を修正していきます。

 当院は昨年7月に開業してからようやく8ヶ月間たったばかりですが、現在通院している患者さんのなかにはこれまでの栄養指導が6回目(!)という患者さんが何人かいます。このことはワタシ的にはものすごい衝撃です。

 単に私が物知らずなのだと思いますが、管理栄養士さんという職種がここまで繰り返して、何度でも何度でもやるものだということを知らずにいました。

 「反復して行なうことで変化させる」というのは理学療法や運動療法のような、身体的なことについては意味があるということは一般に納得できます。しかし、脳で考え、理解して行うことについては、一過性のもの・・・・講義を受けるようなものとして捉えてました。すなわち栄養管理は頭で理解すれば、その後は大丈夫というものと考えていましたので、6回も?・・・これほどまでに反復して行うという概念こそ、わたしには全くありませんでした。

 

 そうですよね。これまでの学校での授業のことを考えてみれば、授業を一度聞いたら覚えられたなどというのは、小学校ならともかく、中学、高校へと進むととても無理。何度も反復して読み書きをおこない、さらにテストでしごかれて、やっとこさ、記憶に定着させて、そのうちにそれを実践できるようになる・・・でもまた忘れるといったものでした。

 

 栄養指導も同じで数回やれば、後はもう大丈夫!などということはありません。当たり前ながら何度も何度も話を聞いて、納得したうえで、食事記録をつけて覚えていく。そして忘れそうになったりしたら更にもう一度、指導を受ける!というものだったんですね。

 ある意味感動!そして「栄養指導は治療薬」のようなものだと思いました。

 一度投薬すればずーっと効果があるというものではなく、定期的に投薬することで効果が持続し、安定する。そんなふうに考えてみるとわかりやすいように思います。もちろん、栄養指導も万能ではないので、効きやすい患者さんもいるし、効きにくい患者さんもいます。全然効かない人には休薬してもらい、本当の「お薬」だけになることもあります。

 ちなみに食事指導の指示は「栄養食事指導指示箋」とか言います。お薬で使う「処方箋」と雰囲気も似ていますね。

 

 

ちょっとくどいですが、もう少し続けます。

 4-5年前に会社の健康診断にて「糖尿病」と診断された患者さん。この患者さんは治療のために自宅近くの病院(当院ではないです)を受診したそうです。その時のHbA1cは11%だったそうですが、主治医の方針で「食事療法でコントロールする」ことになったそうです。患者さんは、その病院の管理栄養士さんと何回もセッションを行い、食品換算表もマスターしたそうです。そして・・・患者さんが一生懸命頑張った甲斐あってか、食事療法のみでHbA1cが5%台となり正常化したそうです。( HbA1cが11%だったのを食事療法のみで5%台まで改善させた・・・どれほどの努力をされたのか?おそらく、相当に必死になり、よほどの苦労をされたのではないかと想像できます。)

 その後は、外来受診の曜日の関係で通院が難しくなったこと、糖尿病についてはある程度自分でコントロール可能・・ということで、通院しなくなったようです。

 

 数年たち、その患者さんが、ふたたび血糖値が上昇したということで、先日当院を受診されました。(やはり前回治療をうけた病院に行くのは気まずかったのでしょうか?)

 受診時の血糖は200mg/dl以上、HbA1cが11%台まで再上昇。尿中ケトン体が(3+)となっていました。尿中ケトン体強陽性ですので、明らかにインスリン不足の状態です(おそらく、御自身で強度の糖質制限食をおこなっていた可能性もありますが・・・)。まずは不足しているインスリンを投与するためにトレシーバという持効型インスリンを開始しました。

 幸いながら抗GAD抗体(※)は陰性であったので、2型糖尿病と診断し、当院で治療したいただくことになりました。(1型糖尿病であれば、もちろん糖尿病専門医の先生に紹介して治療してもらいます。)

 

 自分ですごく努力して、一度はHbA1cを克服したはずの人がなぜ・・・ふたたび糖尿病を悪化させてしまったのか?患者さんにとってはある意味トラウマですので、いまのところあまり深くは究明できてないのですが、疑問は残ります。

 

 糖尿病の治療においては、「頑張らさせすぎないことが大事・・・(糖尿病バーンアウト:燃え尽き症候群?)」ということはよく言われています。もしかしたら、この患者さんは以前の治療で頑張り過ぎてしまったのではないか?ということも想像されます。過去に頑張り過ぎたことで、再び悪化したときに食事療法を頑張ることに辛くなってしまった。

そして、悪化していることには薄々気づいてはいたものの、また病院に行って食事指導を受けて厳しい食事制限を行うのは心からしんどかったのかもしれません。

ある意味・・・食事指導の遍重による副作用??

 

 一旦よくなった糖尿病をそのまま維持し、健康であり続けるために何が必要だったのか?そしてこの患者さんのためにはどんなことを考えていけばいいのか。今後の治療を考えていく上でいろいろと考えさせられます。糖尿病が改善しても受診を終了させたりしないように、定期検査を義務づけるか、あるいは軽いお薬だけでも処方して外来受診を継続してもらうように誘導するという方法があったのかもしれません。いずれにしても放置しないことが大事です。

 非常にお忙しい立場の患者さんなのですが、患者さんと信頼関係が築けたらじっくりとお話をうかがっていきたいと思います。

 

おまけ:

石川雄一先生の「コミュニケーションは治療薬」という動画がYoutubeにアップされています。今回のブログのタイトルは、この講演をヒントにさせていただきました。

石川先生は、産業医講習会でお世話になった先生で、健康医学における私の「心の師」です。感動を与えてくれる先生です。

15分強とちょっと長いビデオですが、ご覧になってください。↓

 ※ 抗GAD抗体とは、

 グルタミン酸脱炭酸酵素(Glutamic acid decarboxylase:GAD)は、グルタミン酸よりγ-アミノ酪酸を合成する際に働く酵素であり、主に脳や膵ランゲルハンス氏島β細胞に存在します。抗GAD抗体は、インスリン依存型糖尿病(IDDM)における自己抗体であり、発症早期のIDDM患者の血中に高率に出現することが報告されています。 

 抗GAD抗体は①自己免疫性1型糖尿病の診断のマーカーとして、②自己免疫性1型糖尿病の発症予知の指標として、③インスリン非依存状態として発症しているslowly progressive IDDM患者を早期に発見する診断マーカーとして、④stiff-man症候群やautoimmune polyglandular syndromeで1型糖尿病を発症しない例の診断の指標として、測定されます.

 抗GAD抗体は、成人における1型糖尿病の診断、発症予知には感度、特異性の両面で最も優れています。

以上、岡山大学検査部HP, シスメックス社提供「プライマリケア」HPより


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フットケア室・・・足の健康を医療する特別な部屋


 今回は当院のフットケア室についてお話します。当院にはフットケア専用室を設けています。
フットケアとはなにか?
 フットケアでは足を診ます。人が移動するために欠かせないのが足ですが、足は靴によって保護されているのとともに、靴によって痛めつけられることもあります。
 ほかにも足を痛めつける原因となるのが、足の乾燥、皮膚炎、水虫、伸びすぎた爪、切りすぎた爪、肥厚した爪、足の知覚神経の異常、足の血流の異常、足の変形などがあります。
 
 フットケアとは、「さまざまな知識や技術、薬物、器具および装具などを用いて、痛めつけられがちな足の健康を守ること」だと思います。
 特に足の神経障害を来した患者さん、感染に対して抵抗力のない患者さん、あるいは下肢の血流障害を来した患者さん、すなわち糖尿病や人工透析の患者さんでは、対応を一つ間違ったり、あるいは数日遅かったりすると下肢切断に至ることがしばしばです。こうした患者さんにおいてはフットケアは特に重要といわれています。
 
 ところで、フットケアサロンはさておき、保険診療を中心とする「メディカルフットケア」を行い、さらに「フットケア専用室」を院内に設置している「診療所」はあるでしょうか?
 ま~~~ず、全国的にはあるでしょうが、青森県内は・・・いや北東北内(きたとうほく)にすら・・・多分ですけど、現時点において当院以外ではないはずです。(筆者調べ・・・(^^;))
  とまあ、かなり傲慢な物言いをしてみましたが、フットケア室を設けている診療所はかなり少ない、というより稀!
 
 ネットで検索してみる限り日本国内では殆どヒットしませんでした。(ちなみに当院もヒットしません!(笑))
 
 当院のフットケア室ではフットケア用患者チェア、施術者用の椅子、肥厚爪や胼胝・鶏眼処置のためのフットケアマシン(吸引型)、足浴用の流し、超音波洗浄機、電子カルテなどなどが配置されています。部屋のレイアウト、設備、ドア、窓の位置など・・・・本やインターネットを活用して調べまくって考え抜き、配慮して設計し、そして大工さんに施工していただきました。
 
 この部屋では主に胼胝(タコ)・鶏眼(ウオノメ)の治療、陥入爪手術、巻き爪、爪甲除去、ネイルケア、足浴、爪白癬~趾間白癬の検査などを行っています。
 
 ところでなぜ、フットケア専用の部屋をもつ診療所はあまりないのか?
それにはいろいろな理由があると思いますが、やはり採算面でなかなか難しいというがあるからでないでしょうか?
 この部屋を設けて様々な器具を導入した理由は「足の健康を守りたい」からです。より本質的なところでは、足のことで困っている人のために少しでも役立ちたいという「心意気」です。
 
 ・・・と、ここまで思い入れあるのですが、現時点においてはこの部屋を一番活用しているのは、わたしではなくて、フットケア学会認定指導士の免許をもつ当院の看護師長さんです。 彼女に、いろいろと患者さんへの指導や、こまかな施術を行ってもらっています。(爪矯正のVHOやORAもやってもらっています)
 
 わたしも胼胝(たこ)や鶏眼(ウオノメ)の処置は結構、好きなので以前は、かなりやってたのですが、最近は診察室の方で過ごす時間が増えてきています。やはりフットケア室は彼女に仕切ってもらうのが、一番スムーズにコトが運ぶように感じています。患者さんの臨床写真も丁寧に撮影して画像サーバに保管しています。
 まだまだまだまだ、認知度の低い当院のフットケア室ですが、これからはますまず需要が多くなると予測しています。
そうなれば、患者さんの口コミなどで、すごくよく知られるようになるのではないかと期待しています。

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腰部脊柱管狭窄症でもない、閉塞性動脈硬化症でもない、下肢静脈瘤でもない、・・・その先にある間歇性跛行・・・・サルコペニア!


 先日、当院を受診された80代の男性患者さんの話です。

診断名は「閉塞性動脈硬化症(へいそくせいどうみゃくこうかしょう)」

ということで、他のクリニックからの紹介で受診されました。

 

 患者さんとお話しながら記憶を辿ってみると、この患者さんは、わたしが以前勤務していた病院において、同じ病名で診察したことのある患者さんでした。閉塞性動脈硬化症の治療には、運動による治療、お薬での治療、カテーテル治療、手術などがありますが、当時のわたしの判断では,動脈硬化による下肢血流低下の状態がそれほどひどい状態でもなかったので、お薬での治療ということになりました。また病変部位が大腿動脈ということもあってカテーテル治療の必要性は無いと判断したように思います。

 今回の受診の理由は以下のようなものでした。

 ここ数年、段々と歩けなくなってきていた。このため去年、病院で大腿動脈の血流障害部位に対してカテーテル治療を受けた。しかし、思ったように歩行できるようになっていない。これから、どうしたら良いか?というものでした。

 「足の血圧を測定する」という簡単な検査を行ってみると、その血圧が治療直後の数値よりも確かに低下しています。

 患者さんに治療後の経過を聞きました。

「治療直後は凄く良くなったのが、段々と悪くなってきましたか?」

ときくと・・・

「そうでもない」

とのこと。

カテーテル治療して、下肢の血流状態は随分と良くなったのに、歩行状態はあまり良くならなかったようです。そして、いまは治療直後より足の血圧は低下しているのに、それに伴う変化はないようです。

何か、ヘンな状況です。

大腿動脈、膝窩動脈の脈を触れてもそれなりに触れることはできます。

試しに、リハビリ室で歩行させてみました。

するとわかったことが二つありました。

一つは「歩隔」といって歩行したときの足の左右の幅が広い。

これはバランスの悪い人にみられる歩き方です。高齢になるとバランス感覚が低下するので、安定性を保とうとしてこのような歩き方になります。歩隔の広い歩き方は、歩行効率が悪くなるので同じように歩行しても疲れやすくなります。

 

もう一つは、200m位歩行していると、「左右の太ももの前面が痛い」と訴えるようになりました。これは、閉塞性動脈硬化症で見られる歩行障害とは明らかに異なります。また、腰部脊柱管狭窄症で見られる痛みとも異なります。

 

 かなり専門的な話になりますが、一般に歩行していて歩けなくなることを跛行といいます。歩くと次第に痛くなってくる。休むとまた歩けるようになる。という状況を間歇性跛行(かんけつせいはこう:他には「間欠性跛行」とは「間欠歩行」とか言います)

 閉塞性動脈硬化症での間歇性跛行は、腓腹部(ふくらはぎ)が最初に痛くなることが一般的です。

 腰部脊柱管狭窄症での間歇性跛行は大腿側面歩行時の痛みは、腰や大腿外面など、身体の体軸方法に一致する痛みがでます。

 さらに、下肢静脈瘤では、歩行していると下肢全体がはれぼったくなり重くなって歩行が辛くなります。

 

 さて、今回の患者さんの痛み、歩行障害の原因となる場所は「太ももの前面」です。

 

 その理由を明らかにするためにCT血管造影を施行しました。CTでは、カテーテル治療を行った右大腿動脈にはステントという血流を改善する道具が埋め込まれていましたが、そのステントはキチンと開通していました。ただし、その上下に別の狭くなった病変がありました。今回の血流低下はこの新しい病変によるものと考えられました。

 問題は、CTでの血流評価ではなく、太ももの筋肉にありました。

なんと、太ももの筋肉が ぺらぺら に薄くなっていたのです。太ももの裏側の筋肉はそれなりに残っていたのですが、明らかに前後で異なります。

CTでの結果から、これが原因だと確信が得られました。

こうなると、神経や血流がどうのこうのという問題ではなく、筋肉そのもののの問題です。

リハビリテーションでの筋力トレーニングの問題です。

 

じつは、こういった状況にはずっと以前から、気づいていたのですが、最近増えつつあるように感じています。いわゆる

 

「サルコペニア」

 

という問題です。この患者さんでは、大腿前面の筋肉萎縮なので、おそらくサルコペニアなのでしょう。

 

わたしは長年、閉塞性動脈硬化症の治療に携わりカテーテル治療を行ない、歩けなかった患者さんを歩けるようにしてきました。そのなかで、最近ぶち当たるようになった問題の一つがこの「サルコペニア」です。

 

サルコペニアの解決には、リハビリテーションを通じての時間と手間がかかります。また、栄養学的な見地からもいろいろと考える必要があります。栄養学として、には

「リハビリテーション栄養学」

という世界があります。

 

実は、わたしが、開業したらやりたいな~、と思っていたコトの一つが、この「リハ栄養学」です。いずれ、リハビリと栄養学とを考えつつ、クリニックが立ち向かうべき、問題として考えていきたいと思っています。

 

大分、話が大きくなり、さらに大きく脱線してしまいました。いずれにしても、一人の患者さんを診るといろいろなことを考えさせられる・・・ということでまとめておきます。

 

のだクリニックは、将来的にリハビリ部門を立ち上げたいと考えています。ただ、システムを作るのにはもう少し先になりそうです。

 

ちなみに、この患者さんについては、ひとまず元気をだしてもらおうということで、漢方での治療を開始しました。

経過をみて、患者さんの希望に合わせて治療方針を考えていきたいと思っています。

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内科診察室について


 当院の内科診察室について説明します。

 内科診察室の扉を開けると・・・

 向かって左側には荷物置き場と診察机があります。

 そして診察机の上にモニターが7面あります。モニターは手前から2面がCT画像観察用のモニター、その隣が画像所見記入用のモニター、そして電子カルテ、インターネット参照用が2面、そしてやや高いところにワークステーション用モニターが1面あります。また卓上にキーボードとマウスが4セットあります。診察机の足元と奥側にはパソコンが4台、足元にプリンタが1台あります。

 ほか、卓上に懐中電灯、舌圧子、音叉、メジャーなどの診察器具、電卓、文房具、ハンコなどがならんでいます。

 

   患者さん用の椅子はベースを丸形にしています。これは看護師さんの意見でそのようにしました。5本足だと患者さんが立ち上がる際に、足に引っかかって倒れることがある」とのことです。

 

 モニターは一杯ありますが、まずは撮影したCTや胸部写真などを参照し、報告書を作成するときに使用しています。またワークステーションでは撮影した画像を三次元処理するときに用いています。

 ところで、電子カルテは非常に便利です。まず、自分の文字が読めますし、手で書くよりも確実に早く入力できます(個人病院勤務のときには自分で書いた文字が読めなくて辛い思いをしました。)そしてカルテを探したり、管理したりする手間がいりません。受付時間もわかるので患者さんの待ち時間も把握できます。「患者さんよりパソコンに向かう時間が多くなってしまいダメだ!」と嘆かれる方はいらっしゃいますが、患者さんの身体に触れてしっかり診察すること、目を見てしっかりと向き合い、相手の話を傾聴する、ということができていれば、多少パソコンの方を向いていても大丈夫と思います。それもダメというのであれば、診察中はメモをとり、患者さんが退室してから入力してもよいと思います。

 私は、多少ブラインドタッチができますが、患者さんによっては、一つ一つ患者さんの言葉を確認しながら、カルテの記載をおこなっています。こうすると患者さんも自分の訴えがキチンとカルテに記載してもらっている・・・すなわち、話を聞いてもらっていると安心できるのではないかとおもっています。すなわち、電子カルテの画面を患者さんと一緒に確認しながら、カルテ記載を行っていくという方法です。

 この方法は、難聴の患者さんを診察しているときに思いつきました。モニター画面にワープロソフトを立ち上げて、文字のポイントを60ポイントくらいにして、患者さんにはっきり見えるようにして、一緒にモニターを見ながら、文字を打ちます。最後にプリントして問診の結果を患者さんに渡していました。ワープロソフトで筆談を行うというイメージです。

すなわち、

 

「今日はどうしました?足のボコボコが気になる?いつから?4,5年前から・・・。立ち仕事?ではないが。こむら返りは?時々ある。足のだるさは?歩くとだるくなる。そうですか・・・、」

 

 などという方法です。ときどき患者さんの方をみながら、しっかりとアイコンタクトをとります。

 この方法で診察すれば、患者さんも電子カルテの方ばかりを診ていて感じ悪い。とはいわれないのではないでしょうか?

 最近は気が向けば、音声入力を用いるときもあります。「アミボイス」といって業務用の音声入力装置です。これはツボにはまると結構早い!薬の名前などはかなりの確率で変換してくれます。たしかに、iphoneのsiriなど最近の音声入力システムの進歩は凄い! 

 でも、滑舌の悪い私は誤変換も多いので、きちんと反応してくれず、かえって手間がかかるときもあります。ですので、頼りっぱなしというわけにいきません。でも少しずつ辞書機能を鍛えていき、そのうちちゃんと使えるようになればいいかな・・・と思って、音声入力をほそぼそとボチボチやっています。

 アミボイスはマイク型でいくつかのスイッチがついています。文字の変換の状態はモニターを見ながら操作する必要がありますが、そのうちにタブレット型やスマホ型の入力装置に変われば、振り返ってモニターの方を向くことも無くなるので、もっと使いやすくなるような気がします。

 診察室は、インターネットにもつながっていますが、これはいろいろと調べる時に便利です。お薬の最新情報、連携先の病院の電話番号や地図、その他にもさまざまな医療に関する情報を瞬時に調べることが出来ます。グーグルカレンダーに患者さんの治療予定をその場で記入してスケジュール管理を行うことも出来ます。また患者さんにお渡しする資料をつくるときの下調べもこれで行うことがあります。

  ちなみに、患者さん呼び出し用のマイクも用意していますが、たまにしか使っていません。患者さんごとにドアを開けて呼び入れています。一回一回たったり座ったりするので少し運動になっているように思います。

 

 

  向かって右側には、低床タイプの診察台があり、その下に足台があります。また、参考図書用のワゴンが1台あります。他、手洗いがあり、うがい用カップホルダーを壁付けしています。

  

 診察台は低床にしています。足腰が悪くても寝やすいですし、アキレス腱反射をみるときにも台に楽に上がれます。

 足台は、フットケアのために爪や足をみるときに用います。足台があることは、フットケアを行う上では基本ですが、これを医療用器具として買うと、重くて冷たいものしかありません。

 当院の足台は、クリニックを建てるときに大工さんに設計図を渡してつくってもらった特注品です。天板には、スポンジをおいて合皮を張っています。

 

 概ね以上ですが、説明したらないことも多いです。興味をお持ちの方は診察室まで是非どうぞ。 

 

 


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さくらねこ電車の脱線



あくまでセルフイメージですが、外来での私は多弁なほうだと思っています。

おまけに患者さんとお話をしていてよく脱線もします。

キビキビ、ビシビシと診察しようと思うのですが、時々関係ない方向に話が行ってしまうこともあります。

 

ふだんそうしていると、患者さんの方も、「そういった診察もありか・・・」と心得たものでして、

「先生、変なことを聞いてもいいですか?」

「よござんすよ」

となり、そこから、別の訴えなどをお話されることがあります。主訴とは別ですが、その患者さんにとっての別の困り事の解決が得られることもあります。

 医者が脱線しているのだから・・・という妙な安心感があるのでしょうか?患者さんも脱線してくれてるような気もします。

 

ところで、認知症の診断でよく用いられる検査で「長谷川式スケール」というのがあります。

これは、正しくは「改訂長谷川式簡易知能評価スケール」(以下、HDS-R)といいます。精神科医の長谷川和夫先生が1974年に開発。現在、わが国の臨床で広く用いられている認知症の検査です。簡便で短時間で行えるのが特徴です。

HDS-Rは、9つの質問からなり、総得点(満点)を30点とし、20点以下だと「認知症の疑い」と判定します。

 

この検査のなかに「さくら、ねこ、電車」という項目があります。

これは、「これから言う3つの言葉を言ってみてください。あとでまた聞きますのでよく覚えておいてください」という質問です。

3つの言葉には、「桜」「猫」「電車」があげられるのが一般的ですが、これにより「遅延再生(ちえんさいせい)能力を診断できると言われています。すなわち、数分前の出来事を記憶できないという、いわゆる認知症に特徴的な短期記憶障害があるかどうか、これでわかるというわけです。 

 

日常診療において、患者さんとお話していていると「もしかしたら、この患者さんは認知症なのではないだろうか?」と感ぜられることがあります。

その際わたしは、話の合間にこの「さくら、ねこ、電車」を使います。

病気についてのお話している途中で突然に、「〇〇さん、話がかわって申し訳ないですが、いまからいう3つの言葉を・・・」といって「さくら、ねこ、電車」と繰り返します。それから、また、病気の話に戻り、しばらくした後に、「そういえば、さっき覚えてもらった言葉は何でしたっけ?」

とききます。

 そこで、応えられれば、問題ないのですが、やはり答えられないことがあります。

これを、患者さん付添いの家族の前で行ってみたことがあるのですが、患者さんがきちんと答えられないときには、ご家族は「ああやっぱり」という顔をされます。 

 家族も患者さんが認知症であることに気づいている場合が多いようで、これがきっかけとなり、認知症の治療を始めることもあります。

 

 さて、先日の外来で足の浮腫みや高血圧などで通院している80歳代の女性とお話をしていた際。

ふと「認知症?」と感ぜられる瞬間が有りました。

そこで、タイミングをみて「〇〇さん、話が変わって悪いけど、いまから3つの言葉・・・・」として「さくら、ねこ、電車」を繰り返してもらいました。

 遅延再生能力を見るためには、その後、若干の時間をおいてから、「さっきの3つの言葉は何でしたか?」とやる必要があります。そのためしばらく雑談開始。

 話は若干脱線しつつ、「足が浮腫む原因は・・・心機能が・・・甲状腺機能低下症が・・・」などと話を継続。

 

すると、受付から処方箋に関する疑義照会の確認電話。

「先生、さっき処方された患者さんの件ですが・・・」

「その薬は、日数合わせのために、わざと一週間分少なくしたのだから、それでいいですよ・・・」

などと返答。ふと気づくと、テーブルの傍らには診察を待つカルテが・・・

「待ッテマス・・・」

といっている。

 

「そろそろだな・・・」

 

「〇〇さん。困っていることは、ほかにありませんか?」とお聞きすると

「特に無い」と。

「では、薬を出しておきますから。次回は○○月✕✕日ですね。」

 

といって患者さんを送り出し、次の患者さんを診察。

その後数名の患者さんを診察していると、

 

「なんか忘れてなかった~?」

と心の声。

 

 

 

「あ〃!」

 

「・・・さくらねこ電車!」

 

80歳代の患者さんは既に会計を済ませてお帰りに・・・

 

・・・ワレコソガァ・・・・遅延再生能力、欠如ナリ・・・・・

 

以上、「さくらねこ電車の脱線」

というお話でした。

お粗末さまでした。


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今日も元気だ たばこが嫌い!


「今日も元気だ たばこがうまい!」(昭和32年 日本専売公社)
 これは昭和30-40年代に流行った日本専売公社の名キャッチコピーです。覚えているかたも多いと思いますが、私が小学生のころにはよく聞いたフレーズでした。その頃は電車の中でも、自家用車のなかでも大人はよく煙草を吸っていました。車内がうっすらと煙っていることもあまり疑問に思うこともなく、それはごく日常の風景だったし当たり前の様に感じていた。
 いまとなってはお恥ずかしい話ですが、高校を卒業し浪人生になったころから煙草を日常的に吸うようになりました。
 そのころは、浪人生同士で「1本のタバコと1杯のコーヒーとどっちが身体には悪いのか?」なんて議論していました。バカですね。
 医学生になってからも喫煙習慣は続き・・・たまり場となっていた友人のアパートでは、だべりながら吸い殻が灰皿から溢れ、さらにはペール缶の中に何百本もの吸い殻があり・・・・といった調子でタバコは日常でした。
 風邪をひいたときすら、ゴホゴホと咳込みながら喫煙していました。ホント情けないほどにタバコに支配されていたと思います。
 いまから25年ほど前、医師になって3年目に喫煙を辞めました。禁煙のきっかけはなんだったのか、不思議とあまり覚えていませんが、とりあえず、お気に入りのライター、灰皿、タバコ入れ、パイプ類など全て捨てました。
 しかし1回の禁煙チャレンジで辞められたわけではありません。宴会などでつい気が緩んで「ちょっと一本いい?」ともらい煙草をしてしまい、そこから再開してしまったことが数回ありました。決して順調とは言えませんでしたが、その後から今に至るまで禁煙は続いています。

 タバコをやめてみてわかったことは、「タバコはイライラしたときのストレス解消になる」というのは大嘘だなということでした。

 むしろ喫煙者だったころには、ケースにあと何本あるか?と煙草の残り本数を気にしたり、喫煙する場所やタイミングはどうしようかと悩み、ポケットに小銭の残りを探し、果てはアパートの火の後始末を心配して・・・・・などなど脳の一部がいつも煙草のことを考えていました。

 タバコをやめたことで、むしろ「喫煙そのものがストレスやイライラの原因になっていた」ということに気がつきました。

 気になって調べてみたら、ファイザーのHPにも同じような記事がのっていることを知り、納得。やはり、タバコをやめたほうがストレスの度合いが少なくなるようです。

 

 元喫煙者あるある!だと思いますが、「タバコの臭いに敏感になり、タバコがキライになり」ました。元喫煙者が嫌煙家になる・・・・知り合いでも身の回りでも同じような人は多いです。
 屋外で数10m以上離れたところでも喫煙されたタバコの臭いがわかるといやな感じになります。 ホテルやレストランでは必ず「禁煙」を指定するようになります。特にホテルなどでは部屋がタバコ臭いと吐き気がしたり、頭が痛くなったりします。
 実際のところ、副流煙のうち、目に見える煙(粒子成分)は3%以下で、目に見えない煙(ガス成分)は97%以上なんだそうです。つまり目に見えている煙は実際の3%に過ぎず、見えない煙がその30倍となるのだから、離れたところでも臭いは分かるわけなんですが・・・。そして無神経な喫煙者に対しては本当にイライラすることがあります。
 小学生のころには隣の人が喫煙していても殆ど無頓着だったタバコの煙。ですが、時代の流れなのか、身体の変化なのか、感じ方も変わるものですね。
 喫煙のことではいまも思い出す話なのですが、下肢閉塞性動脈硬化症で私が血管形成術で治療したある70歳代の患者さん。
 以前は警察にお勤めだったとのことで眼光は非常に鋭く、かつ愛煙家でした。同じく動脈硬化で治療し通院していた患者さん(非喫煙者)がいて、たまたま二人は同級生同士ということで仲も良く大抵同じ日に通院していました。
 喫煙は動脈硬化というだけではなく、癌や脳卒中、心筋梗塞などのリスクを増大させます。ですからたびたび禁煙を促していましたが、なかなか喫煙をやめてはくれませんでした。
 外来で、
 私:「今何本くらい?」
 患者:「毎日20本」
 私」「動脈硬化が進行しているので、煙草をやめないと心筋梗塞や脳梗塞など将来的には非常にまずいですよ。何とか頑張って禁煙しましょう」
 患者:「先生、私は煙草はやめないんですよ・・・」
 とまるでドラマで刑事さんが話すような、あの鋭い眼光でお断りされてしまいました。
 「じゃあ、もう、来なくていい!とっとと帰れ」などという捨て台詞も、滅多なことでは口に出来ません。「じゃあ、先生とはこれまで・・・」と通院を中断して、薬も中断されそうで・・・それはもっと困ります。
 なので、しつこいですがときどき禁煙を勧めては、返り討ちにあっていました。(あの眼光の鋭さが半端ねぇ)
 ある日、その眼光鋭い患者さんが、外来の予約日に受診されませんでした。「今日はいらしてないな・・・」と思いつつ、いつも一緒に通院しているその同級生さんに尋ねたところ、「ああ、あいつはアタったんで、(別の脳卒中の専門病院に)入院している。もう廃人だぁ!」と告げられました。
 
 人の一生はそれぞれだし、またその患者さんにとってタバコがどれほど大事だったのかどうか?本当のところはわかりません。
 また、タバコを吸っていたことが、脳卒中の本当の原因かどうかもわかりません。もう御本人と話をすることは出来ませんが、「いやー、アタっても本望だったんだよ!」と考えていたかもしれません。
 ことタバコとなると嫌煙家は、タバコが病気を引き起こすリスクに関して感情的、ヒステリックになりがちなので、統計的事実といわれることについても若干注意しながら話す必要があります。
 
 煙草ケースには「喫煙は、あなたにとって脳卒中の危険性を高めます。疫学的な推計によると、喫煙者は脳卒中により死亡する危険性が非喫煙者に比べて約1.7倍高くなります。」と表記されています。これは多分事実なのでしょう。これをみて喫煙する人の多くが考えます。「1.7倍ってたいしたことではないのではないか?」と。しかし、疫学的な推計の母集団には多くの健常者が含まれています。
 もし、既に動脈硬化があると確定した患者さん・・・特に私の外来に通院しているような患者さんは、喫煙によって引き起こされる脳卒中リスクは、非喫煙の1.7倍だったなんてもんじゃ・・・絶対ないよな・・・と強く感じたものでした。
 
 ええっと。それから、3年以上経ちます。アタった愛煙家の患者さんは既にお亡くなりになったと聞きました。
 そして、もう一人の非喫煙の同級生の方はというと、先日久しぶりに当院を訪れ、懐かしい顔を見せに来てくれました。
 これも事実なんですけどね。
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認知症患者800万人時代! 認知症治療薬「メマリー」の話


 急速な勢いで高齢化が進む国、日本。

 今後、日本の認知症の患者は800万人になる見込みだそうです。(NHKスペシャルから)

 血管内科として動脈硬化の患者さんを診察していく傍ら、それに並行するように存在する認知症。

 施設ではなく、在宅で認知症をみるのが一般的であり、また、その数のおおさからして認知症を診察できることは医師として必須となっています。

 

 つい先日のことですが、その前の診察の際に「メマリー」というお薬を追加処方した患者さんとその娘さんが見えられました。娘さんに状況を伺うと ”メマリー内服をはじめてから患者の問題発言が減り、家の中での喧噪がとても少なくなった。”ということでした。どうやら薬が効いたようです。

「メマリー(メマンチン)」というのは認知症治療薬で、これは認知症による周辺症状を抑えるのにとても効果のあるお薬です。

 

 認知症というと、通常は「もの忘れ」や「日時や場所、方向感覚がなくなる」「判断力低下」「日常生活力の低下」などという中核症状のことを思い浮かべられると思います。

 

 しかし、認知症患者の介護に携わる家族にとって現実の脅威は、患者の ”周辺症状” です。

 

 周辺症状とは「物盗られ妄想」や「暴言、暴力」、「食事拒否」、「異食」、「徘徊」、「失禁や不適切な便処置」、「幻覚、幻聴」など介護する家族からみると深刻に困惑するような状況です。

 

 周辺症状が悪化すると、患者からの暴言、暴力や物盗られ妄想などによって介護をする家族は精神的、肉体的に大きなダメージを受けます。また患者自身においても、それまで家族との間で培われた人間関係が損なわれてしまいます。(昔はいい人だと思っていたのに・・・などと晩節を汚すようなことに・・・)

 医療者が「その暴力や暴言は認知症の症状ですから」といくら説明しても、なんの解決になりません。たとえ、それが病気による症状とは理解できても、暴言は親しい分だけ的確に家族を傷つけ、お互いに非常に不幸な状況に陥ってしまいます。

 

 メマリーはあの2011年の5月に発売されたお薬ですが、いろいろと思い出深い話があります。(東日本大震災の年でした。期待の新薬だったのに発売が延期され、メーカーの方が二重にショックを受けた・・・といういわくがありましたね)

 

 以前の病院勤務のころの話ですが、閉塞性動脈硬化症の70歳代の男性の患者さんとその奥さんの話。

 その患者さんは、左足の親指が陥入爪となり、それに感染を併発。その後別の病院で足の親指を切断したが、縫合後の創傷治癒がうまくいかず、腐敗しまったということで紹介されました。下肢血流障害を治療し、腐敗部分を切除したところ、みるみると肉芽が盛り上がり、そのまま皮膚移植せずに治癒してしまったという経過です。

患者さんとその奥さんは、治療がうまくいったことにとても感謝してくれまして、その後も往復2時間以上かけて自宅から月一回のペースで通院してくれました。

さて、問題はここから。

 この患者さん自身はとても朗らかで人柄もよく、通院はいつも奥さんと一緒。

「先生のお陰です。命を救ってもらいました。」などとこっちが恥ずかしくなるような表現で感謝してくれ、それなりに気遣いもできる方でした。

 しかし、ある日の外来、奥さんが患者さんの後ろ側から何回も目配せをしています。

 

 「ん~どうしたんだろう?」と思い、ひとまず患者さんと奥さんを診察室から送り出しました。その後、「ちょっと確認したいことがあるから・・・」と奥さんだけを再び診察室に招き入れて話を聞くことにしました。

 

「どうしました?」

 と聞くと、奥さんは非常に困ったような顔をして、

 「おっとぉが最近、物忘れるようになっただば、、、おまけに夜になるとわのこと、むったと殴るようになったでば、たいして困っただじゃ~(確かこんな感じのディープ津軽弁)」

と話してくれました。

 たしかに動脈硬化が相当進行している患者さんであったし、以前に撮影した頭部CTでも脳が相当萎縮していることは知っていました。

「そうですか?認知症ですかね~。じゃあ次来たときに認知症の検査してみましょう」ということで、「長谷川式認知症スケール」を、言語療法士にお願いしてチェックしてもらいました。 得点は20点以上ありセーフということでしたが、若干記名障害があるのでは・・・?という検査者のコメントでした。

  検査結果では明らかに認知症とは言い難いながらも、奥さんは夫の暴力に相当にお困りの様子でした。

 

 そのころ私は、「メマリー」という新しい認知症薬が発売になったことを医師会主催の勉強会で情報収集しており、どうやら周辺症状によく効くらしいという話でしたので、これを5mgから開始することとしました。

 

 さて、当時の常識からして、「なぜ、認知症の専門医でもないのに発売されたばかりの新薬を処方したの?」という御意見もあるかとは思いますが、弘前まで往復2時間もかかるところに住む、在(ざい)の患者さんは、紹介状を持たせて専門医のところに行けといっても面倒くさがって行かないのです。そのことよりも奥さんが暴力を振るわれていることが気にはなってしまいました。

 

 さて、その後も患者さんは奥さんと一緒に通院。外来では特に様子の違いはなかったのですが、お薬を少しずつ20mgまで増量していきました。そのご、奥さんに家庭での状況について伺ったところ、「薬(メマリー)を飲むようになってから家庭内での暴力が全くなくなった。とても良かった」ということでした。

 

 他の患者さんにおいてもメマリーは著効しました。・・・その方は脳梗塞で片麻痺、失語あり、車椅子でしたが、気に入らないことがあると外来でよく暴れる患者さんでした、。この方にもメマリーを処方したところ、その後外来でほとんど暴れなくなり、さらに「夫が優しくなった」と奥さんから感謝されたこともあります。

 

 メマリーはとても良いお薬ですが、困った点が一つあります。能書には「通常、成人にはメマンチン塩酸塩として 1 日 1 回 5 mgから開始し、 1 週間に 5 mgずつ増量し、維持量として 1 日 1 回20mgを経口投与する。」

 

とあります。しかし、実際に20mgまで増量すると患者さんによっては情動が過剰に抑制されてしまうことがあります。

その結果、患者さんの活動性が落ちてしまうことが有ります。その結果として「褥瘡」を作りかけたことがあります。

 

 そのため、維持量を10mgとしていたところ、医療保険機構から「正しい使い方をしていない!20mgまで増量しないのはいけません」と注意を受けたことがあります。

 このため、あるいみ無駄と思えるような「症状詳記」を書いたことが何回もあります。(最近は改善されつつありますが・・・)

 

 維持量に関する能書を早く変更して欲しいと思うのですが、行政やメーカーの立場はどうなんでしょう?

 

 「認知症800万人!」って凄いインパクトです。今後人口の40%以上が高齢者になっていくことを考えると高齢者の5人に1人が認知症ということになるのでしょうか? 

 

 いずれにしても今後は、好むと好まざるとにかかわらず、認知症の問題にはしっかりと取り組んでいかなければならないと思います。


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インフルエンザと漢方


 お久しぶりのブログ更新。当院は堂々と「血管内科」と標榜してますが、「血管しか診ない!」というわけではありません。

 むしろ、いろいろな患者さんの疾患を診療しつつ、隠れている血管病を発見したいという気持ちが強いです。なので、むくみやこむら返り、風邪、頭痛、腹痛、胸やけ、めまい、認知症、生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常、痛風など)の治療、陥入爪、水虫、創傷の管理、はたまたCT検査の読影、更には漢方治療なども喜んでやっています。

 

 ところで漢方治療についてのお話です。

 最近、弘前でも流行の兆しのインフルエンザ。当院ではイナビルという抗ウィルス剤を第一選択にしていますが、更に服用できる人には漢方薬もお出ししています。 インフルエンザに漢方?といぶかしがる方もいらっしゃるかとは思います。

 

 「漢方はインフルエンザに効くのか?」・・・・「かなり効ます。」

 

 漢方での風邪の治療法として特徴的なものが、「病因がからだのどの部分にまで侵入しているかによって細かく治療ができる」というところにあります。

 

もし、不幸にしてインフルエンザウイルスに感染して発症したら、経過は以下のようになると思われます。

1日目:悪寒・筋肉痛・関節痛・倦怠感 から始まり、熱が急に上がる。

2日目:高熱。頭痛・関節痛・筋肉痛が本格化。時に鼻詰まり。

3日目:そして大量の発汗後に、高熱が一時的に平熱~微熱になる。(ここまでが全身症状)

頭痛のピークが過ぎる。ここから、遅れて咳が出始める。その後、のどの痛み、大量の鼻汁。

4日目:また熱が上がり、咳のピーク。咳払いが多くなる。(局所症状)

5日目:解熱。(ただし、解熱後2日は外出禁止)

6日目:咳・倦怠感の残りがひどく、息がしにくい。

7日目~数週間:咳が残っている。これは、治ってからも数週間まで続く。

 というところでしょうか?

 インフルエンザの症状は全身症状から呼吸器症状、そして消化器症状などへと刻々と変化し、その後ダラダラとした咳や全身倦怠感で自然に回復していきます。

 

 以上インフルエンザの漢方では治療時の投薬は実に多彩です。症状の変化に応じて治療薬が変わるからです。

 寒気、関節痛、筋肉痛の時期には「麻黄湯」、「越婢加朮湯」

 発汗後に熱が引けてきたら、「桂枝湯」、「麻杏甘石湯」

 のどの痛みには「桔梗湯」「小柴胡湯加桔梗石膏」

 残る咳には「桂麻各半湯」、「竹じょ温胆湯」、「麦門冬湯」「滋陰降火湯」

 鼻汁には「小青竜湯」

 病後の全身倦怠感には「補中益気湯」

 

 などなど、複雑ですが、インフルエンザの経過に合わせて細かく用法を変えていくことで、非常に早く健常な状態に持っていくことが可能です。 

 

  インフルエンザを初めとして風邪にかかると、なぜ寒気がして体温が上昇するのかというと、これはウイルスに対する防御反応と考えられています。体温を上昇させることにより免疫機能を活性化させウイルスをやっつけるためです。(これとは、逆に体が冷えると感染に弱くなります。体を冷やすな!とよく言われますね)

 

 一般に麻黄湯や葛根湯、麻黄附子細辛湯という漢方薬は体温を上昇させる作用があり、体に入ってきたインフルエンザをやっつける手助けをしてくれます。また、「麻黄湯」は、実験室においてもインフルエンザウイルスそのものを増殖させない効果があるといわれています。

 

 治療論について漢方と西洋薬とを比較します。

 西洋薬ではインフルエンザウイルスそのものに働きかける薬を処方します。すなわち抗ウイルス剤です。もしウイルス自体がその薬に対して抵抗性を持てば新しい薬が必要となります。

 しかし、漢方薬では身体の免疫反応を調整することにより、治癒を早めようとします。この方法ならば、抗ウイルス剤耐性株のウイルスでも対応できますから、いつでも同じ薬で大丈夫ということになります。

 臨床の現場では、両方をうまく使うことがよい治療につながると考えています。

 

 自験例です。

 漢方を覚えたてのころの話ですが、以前の病院で当直していた時のお話です。ある晩、午後8時頃に急激な発熱(39度)と寒気を訴えて、同僚の姉妹(20歳代女性)が救命室に訪れました。迅速検査であっという間にインフルエンザ陽性と判明したため、タミフルを処方することとしました。「絶対休めない!なんとか、早く治したい~~!」と救命室で叫んでいました。

 その時に、背中に触りまだ発汗していないことを確認できたので、「麻黄湯」を処方に付け加えて返しました。「熱がひけて体調がよくなっても会社に出てはダメですからね~!」と一言添えて・・・

 

 後日「どうなった?」話を聞くと、その後夜間にかけて大量に発汗。翌日には熱が引けてしまった。そして体調も十分に良くなったのでそのまま会社にいってしまったそうです。(・・・オイオイ!)

 

 クリニックを開院してから、インフルエンザの患者さんを診ることがたびたびあります。

漢方名医である、井齊偉哉先生(北海道日高郡の静仁会静内病院院長)に教わったことをそれなりに工夫しながら、漢方薬を処方しています。

 

 もちろん、漢方がダメだという方にはお勧めはしませんが、西洋薬でウイルスを攻撃し、漢方薬で守りを固めるという、2つの効果による治療が効果があるようです。漢方薬が大丈夫な方には是非とも、漢方薬でインフルエンザに立ち向かっていただきたいと考えています。

よろしくお願いします。


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放射線科同門会参加 新しい驚異的な放射線治療・・・BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)


 「医師の紹介」のなかでも述べておりますが、私は日本医学放射線学会の放射線診断専門医かつ、日本血管造影インターベンショナル学会認定専門医です。(だいぶ変わり種ではありますが・・・)ですので、同門会は放射線科学研究科に所属しています。放射線科は大きくわけると診断学と治療学(さらに核医学のこともある)とに分かれています。

 10月15日、その放射線科の同門会に出席しました。つい数ヶ月前まで大学病院に勤務していたため、参加者の顔ぶれについてはそれほど久しぶりというわけではないのですが、開業してからの道のりを考えると随分経ったような気もします。

 今回は前教授が退官された直後で、目下のところ後任教授が不在・・・・・ということも関係しているのでしょうか?いつもより参加者の少ない同門会となりました。

 同門会では、博士号を授与された教室員の講演、および前教授の特別講演があった特別講演が催されました。

 教室員の講演は時間遺伝子の話および肝臓のカテーテル治療に関する新しい治療法など先進的な講演で興味のある話でしたが、前教授の講演はさらに格調高く興味のあるものでした。前教授は放射線治療医です。

 

 講演は「ホウ素中性子捕捉療法」という新しい放射線治療についてでしたが、これは「がん」に対する最も先進的な放射線治療のお話です。

 原理はなかなか難しいのですが、がん細胞に加工した「ホウ素」を取り込ませたうえで、その範囲に熱中性子を照射すると、ホウ素は熱中性子を捕獲してリチウム原子に変化、ついでにヘリウム原子(α線:アルファせん)が発生します。このとき発生したアルファ線の高いエネルギーを利用してがん細胞を殺傷するという治療法です。(α線というのは中学3年の理科の教科書にもでてきますが、覚えておいででしょうか?)α線は10-14マイクロメートル(マイクロはミリの千分の一)しか及ばないことから、がん細胞にのみ分布させることができれば、正常細胞への影響はほとんどありません。その結果。正常細胞をほとんど破壊することなく、腫瘍細胞のみを選択的に壊死させることのできる、という夢のような治療法です。

 実際のところはがん細胞のところまでホウ素を運搬する方法がこの治療のキモです。ホウ素を「かご」にいれたものや、アミノ酸にくっつけたものを点滴静注して、がん細胞への濃度を高めてやります。治療効果はこれまでの放射線治療の常識を覆すもののようです(下図)。もちろんすべてのがんに有効というわけでなく、脳腫瘍、悪性黒色腫、頭頚部がんなどで優れた成績が得られているのですが、ホウ素の運搬方法を工夫することによってさまざまながんへの治療応用が期待されています。

 

 日本は、ホウ素中性子捕捉療法の分野では世界のトップを独走しています。実は日本は、ホウ素中性子捕獲療法以外にも、重粒子線治療、陽子線治療などの技術についてもやはりトップクラスです。

 「日本は世界唯一の被爆国」でありさまざまな分野で、「核」や「原子力」という言葉に特別な感情を抱きがちです。しかしながら、こと医療分野においては「原子力」や「放射線」の技術を駆使して、人間を助けるために上手に利用してしまう・・・日本人の奥深さは本当に凄いことだと思います。

 

 下記に臨床例とリンクを張っておきます。


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第14回 弘前・白神アップルマラソン お天気なのもほどほどに


  今日は第14回弘前・白神アップルマラソンに参加してきました。参加といっても自分がランナーとして参加するというわけではなく、救護班の医師としての参加です。救護班はアップルマラソンの選手の身体的トラブルをサポートするのがお仕事で、その内容は出走前の血圧チェックから始まり、足のマメが潰れた、皮が剝けた、転倒して擦り傷をこさえた、虫に刺されたといったものから、足が攣った、めまいがする、吐いたといったもの。更には胸が苦しい、呼吸困難、そして意識がなく呼びかけに反応しないなどなど様々です。また、リタイアした人がそのまま帰宅して大丈夫かどうかといった健康状態のチェックも行います。

 もちろん、救命用のAED(エーイーディー)は何台も準備しており、緊急時にはこれを使うこともあります。

 今年の参加者は6500名ほど。昨年よりやや減ったとのことでした。それをサポートする救護班は数十名の救急救命士を含む消防士さん、医師5名、看護師7名での構成からなります。医師の配置はコースの3カ所とドクターカーの1カ所になっていますが、私の配置は本部。本部は医師2名体制です。私と相方の花○先生は弘前大学の先輩で救命救急センターに長年勤められているベテランの先生。循環器内科出身のとても元気でその場の状況に応じて的確な判断をしてくれる頼もしい先生です。

 

 さて、午前8時前に会場に到着。朝から気持ちよく晴れて快晴の空、気温上昇が予測されました。大会本部や来賓の方にとっては「好天に恵まれて、すばらしい大会となりそうな良い天候」なのでしょうが、救護班にとっては、「忙しく、壮絶な一日、もしかしたら心肺停止が発生?しそうなとても悪い予感がする天候」です。

 午前9時に青森県知事がスターターになり、フルマラソンがスタート。続いて弘前市長がスターターとなり3kmの中学生がスタート。順次、3kmの小学生と高校生以上、10km、ハーフマラソン、5kmと順次スタートとなりました。

 

 本部救護所に最初の選手が訪れたのが、10時半。足のトラブルという軽症。続いて、転倒で額が割れて大量の出血を起こした方が見えられました。応急処置の止血をしてから縫合のために臨時当番の病院への搬送となりました。

 その後、ゴール近くで人が倒れていると連絡があり、ベテランの花○先生が現場に急行しました。花○先生が不在の最中にも次々も選手がやってきます。私が担当した選手は両下肢痙攣を起こしていたのですが、異常な発汗と若干の意識障害あり。脇の下に体温計を強く刺すようにして体温を測定すると39.8度。熱中症です。早速リンゲル液を補液。ビニール袋にクラッシュアイスを入れて作成した「氷嚢」で選手の頸部、腋窩、脇腹、股関節を冷やします。そして痙攣した下腿の筋肉を伸ばしてやります。観察していると手も痙攣状態となり、助産婦位(トルソー徴候といって低カルシウム血症などで起こります)となりました。汗で大分ミネラル分を失った結果です。

 ベテラン花○先生が帰ってきところで、説明してくれたのですが、「倒れていた選手は熱が40度近くあり、意識も怪しかった」のでそのまま補液を行いつつ大学病院の救急救命センターに搬送となったようです。

 

 気温の上昇と太陽の日射しが選手へのダメージを大きくしたのか、その内に次々と下肢痙攣、嘔吐といった選手が次々訪れました。熱中症にまでいってなくても消化管へのダメージを負っている方も多く、水分を受け付けないような方には、次々とベッドに寝かせ、補液を行います。

 途中、シャツとズボンを着用した70歳代の男性が救護所まで「具合が悪くなった」といって見えられました。70歳代でランニングウェアではない、普通の私服ということもあって、身なりだけみると70歳代のどこにでもいそうな「患者さん」にみえます。「患者さん??を救護所で見ることもあるの?」と思っていたら、実はマラソンの参加選手でした。どうやらゴールし終わってから着替えて帰り支度をしている最中に具合がわるくなったそうです。点滴を開始しました。70歳代でも頑張ってます。

 

 本部救護所では当初、3台のベッドを準備していたのですが、足りなくなってしまいました。ならべた椅子をベッド代わりにして全部で7台のベッドを確保し、それぞれに選手が横たわっている状態でした。

 選手の多くが下肢の痙攣のために歩行できなくなって訪れます。中には両足の大腿部と下腿のふくらはぎが攣ったという人もいます。大腿部でも大腿四頭筋(大腿部前面の筋肉)が痙攣したので、それを伸ばそうとしたら、今度はハムストリングス(大腿後面の筋肉)が痙攣したり、あるいは背中の筋肉がつったりしてかなり大変な状態の選手もいました。

 太陽が照ってくると体調を崩した選手が一気に押し寄せます。しかし、雲によって日射しが遮られると若干、余裕ができるといった状況で、あたかも天候の経過と選手の体調とがリンクしているようでした。

 

 当初、救護所に30本以上準備していたリンゲル液(点滴)が底をつき(これはこれまでで初めだそうです)、大量に準備したクラッシュアイスも殆ど使い切った状態で大会終了となる午後3時を迎え、救護班の仕事もようやく一段落となりました。

 

 今回、救護班として参加してみて感じたことがあります。

 一つは選手には天候に応じた体調管理の戦略が必要だということ。今日のような暑さが予測される大会では脱水対策と電解質管理がとても重要です。汗で大量の電解質を失うことで、筋肉痙攣だけでなく内臓障害をも起こします。またランニングでは上下に内臓が揺すぶられるので、胃内に停滞しやすいような水分摂取のやり方はよくないと思います。胃内に停滞した水が内臓を上下に揺さぶることで、消化管へのダメージを起こしやすくなるのかもしれません。選手の一人が「胃がチャプチャプしている。水を摂っても全く吸収されてないような気がする」と話してましたが、やはり吸収の悪い水道水よりは、OS-1などの経口補水液の方がよいと思います。経口補水液(結構しょっぱい)は点滴したのと同じ早さで体内に吸収されます。

 

 それと、もう一つは大会で記録を狙うなど、頑張って走ろうと考えている選手は是非ともサポート役がいる状況で参加して欲しいと思います。できれば責任者がしっかりとしているようなチームが最適です。頑張ろうとする選手はかなり無理をしがちで、具合も悪くなりやすい。でもサポート役がキチンとしていれば、なにかあったときの対応は随分と円滑に運びます。例え、病院に救命搬送するような場合でも持ち物や荷物の管理、搬送先での受付などを代行してやってくれる方がいるのといないのとでは大違いです。

 それとは逆に、一人で参加して状態が悪くなるまで頑張ってしまうのは非常にまずいと思います。単独参加で倒れたりしたら、運営スタッフがその選手の御家族への連絡や持ち物の回収と管理、それを病院まで送り届けて受付したりしなければならず、スタッフの労力は大変なものになります。

 

 今回の大会ではリタイアがかなり多かったと聞いています。ゴールまで走りきって倒れるより、リタイアする勇気をもつことが大事。きちんと自分の体調を理解し、もしダメだなと思ったら身体に深刻なダメージを来す前にリタイアできた人はとてもクレバーだと思います。

 マラソン大会への参加は人生あるいは健康を修養するためかもしれませんが、人生を賭ける場ではありません。あくまで楽しんでやるものですからね。

 それでは。


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漢方診療における著効例について(改訂版)


 漢方が非常に効果があったと思われる患者さんが同じ日に来院されるということがありました。

 

一人目は80歳代女性です。

 ある日の午後3時に急激に右足の親指の付け根の部分に腫れと赤み、それに急な痛みが表れましたといって、娘さんと一緒に来院されました。患者さんは普段は他の医院から血圧とコレステロールを下げる薬を処方され服用しているとのことでした。

 わたしの仕事は足をみることですから、まず靴下を脱いでもらいます。先入観をもたずに痛むところをみれば、一見「痛風」です。痛風とは尿酸の結晶が関節に沈着することで炎症がおこる病気です。病状の経過、痛みの場所も「痛風(つうふう)」の発作として問題ないようです。しかし、高齢女性の痛風というのはあまり例がありません。

 さらに、痛風であれば、おそらく異常値を示すであろう尿酸(にょうさん)という成分が上昇しているはずですが、この患者さんでは尿酸は全く上昇していません。ただし「CRP」という炎症のときに上昇する成分のみが異常値でした。また足の骨のX線写真を撮影しましたが、特に異常は見られませんでした。

 痛風の診断となれば、炎症と痛みをおさえる薬を処方して診察終了となるのですが、どうも違うようです。

 

 では偽痛風?(※偽痛風とは尿酸血症に変わりにピロリン酸カルシウムという結晶物が関節に沈着して起こる病気です)場所が若干異なるし、関節軟骨の石灰化もなし。(カルシウム、リンは正常でした)CRPは1.5と軽度上昇していましたが、また白血球の上昇はありませんでした。診断は・・・はっきりしません。

 ・・・・こういうときには、わたしは直ぐに頭を切り換えます。「西洋的に診断名を求めてあれこれする詮索するよりも、まずは患者さんの症状をなんとかしよう・・・」

 こういったときに強い味方となるのが、漢方です。

 

 急性の関節の腫れと発赤が見られたことから、「越婢加朮湯(エッピカジュツトウ)」を選択、皮膚の発赤が強いので、これを抑えるために「十味敗毒湯(ジュウミハイドクトウ)」を追加しました。越婢加朮湯は麻黄というエフェドリンを含んでおり、比較的体力のある方に処方する薬です。患者さんは痩せている方なので、体力的には大丈夫かな?と少し思ったのですが、痛みと赤み、腫れなど炎症の症状がはっきりしていたので、ここは強気に越婢加朮湯にしました。だたし、ご高齢ということなので、投与量は2/3にしました。

 

 そして・・・その方が後日見えられたのですが、驚くほどに症状がきれいに消えていました。もちろん、再発しないともかぎらないので、しばらく経過を見たいとは思いますが、まずは著効例としてよいと思いました。

 

 

 二人目は40代の女性。下肢静脈瘤にて受診されました。最近特に症状が悪化したとのこと。左膝を曲げようとすると膝の内側に圧迫されるような感じが強くなり、また左半身が全体に冷たい感じがするということでした。左腕も疲れやすいとのことでした。

 左半身に症状が集中していたことから、脳や脊髄など神経学的な症状を伺わせる感じがありました。そこで念のため頭部CTを施行しましたが、異常は見られません。一般に、下肢静脈瘤を訴えて見えられる方に、わたしは静脈瘤を「瘀血」という血液が滞っている状態として捉え、「桂枝茯苓丸」を処方することが多いです。

 しかし、このかたには左半身の症状が強く訴えています。するのですが、このかたには、「疎経活血湯(ソケイカッケツトウ)」を処方しました。「疎経活血湯は左半身の症状に効果がある」と漢方の専門医の口説(くどく)を受けたことがあったからです。

 そして、後日来院されました。お話を聞くと、「先生!、ドンピシャ。ストライクです。飲み始めたその日の夜から、これまでの症状が嘘のように消えました。いままでいろいろと困っていたのはなんだったんだろう。」とおっしゃっていました。その話を友人にお話しても「神経でねぇ?(精神的なものなんじゃない?)」といっても信じてもらえなかったようです。

 このかたについても著効例としてよいのではよいかと思います。

 

 漢方学については、わたし自身、お師匠について修業したわけではないです。ただ、漢方の勉強会にはかなり熱心に参加し、知識を身につけるべく努力はしています。漢方学の本も10数冊を通読しています。

 もちろん西洋的な診断、病態の解明も大事です。しかし、西洋医学的にみて、ひとまず診断が不明瞭であっても、それらしい病名をつけて処方することで改善していることも多いです。(風邪や自律神経失調症などはその例ですが・・・)

 そういった実態を考慮すれば、あながち漢方での診療がだめとはいえないと思います。

 

 もちろん漢方は、症状が治まれば何でもいいとは思いません。さらに漢方的に症状が改善しても、そこに落とし穴があることは十分承知しています。(自分が関係した患者さんではありませんが、とある病院のとある医療関係者の話・・・漢方の恐い落とし穴ですけど、いずれ書きたいと思います)

 

 なにはともあれ、今回、自分的には大変よい経験をさせてもらえました。患者さんが喜ぶ姿をみるととても、働く意欲がわいてきます。医者にとってなによりのご褒美です。

  

 まとまりなく書いてしまいましたが、今日のところはとりあえずここまでにしたいと思います。

それでは。

 

<解説>

越婢加朮湯(エッピカジュツトウ)は、体の熱や腫れ、あるいは痛みを発散して治します。病気の初期で、比較的体力のある人に向いています。具体的には、腎炎、ネフローゼ、関節リウマチ、湿疹などに適応します。むくみ(浮腫)や尿量減少、口の渇きなども処方の目安になります。

 

十味敗毒湯(ジュウミハイドクトウ)は、皮膚の赤みやカユミを発散し、腫れや化膿をおさえます。また、そのようになりやすい体質を改善します。体力が中くらいの人に向く処方です。

 

疎経活血湯(ソケイカッケツトウ)は、血行や水分循環を改善し、また痛みを発散して治します。その作用から、関節痛や神経痛、腰痛や筋肉痛などに適応します。体力が中くらいの人で、皮膚が浅黒く、ときに浮腫をともない、足腰が冷えて痛むときに適します。


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こむら返りの治療と予防


こむら返りについての続き

 

さて、こむらがえりが発症したときはどのようにするか、発症時の対応についてです。

 

1.まずはアキレス腱を伸ばし、その後マッサージを行う

 アキレス腱はゆっくりと伸ばすようにします(痛みのためにゆっくりと伸ばせないかもしれませんが・・・)。伸ばすのは、収縮し続ける筋肉を緩めるのが目的なので、腱紡錘と筋紡錘の働きを考えると、ゆっくりが原則。筋肉への急激な刺激は筋紡錘の働きを弱めることにはならず、かえってダメージを強くしてしまいます。伸ばしたあとはマッサージを行います。

足先をつまんで伸ばす

タオルを引っかけて伸ばす

壁に押しつけて伸ばす


2.芍薬甘草湯を内服する 

 芍薬甘草湯は急性の痛みに用いられる漢方薬で、横紋筋と平滑筋のどちらの筋肉の収縮も緩める働きがあります。横紋筋については筋弛緩薬と同等、平滑筋については抗コリン薬(いわゆるブスコパン)などと同程度の効果があります。

 芍薬甘草湯の芍薬に含まれる「ペオニフロリン」という成分は、筋肉が収縮するために必要なカルシウムの細胞内流入を減らし、結果として筋肉の収縮を押さえると考えられています。また、抗炎症作用あるいは血小板凝集を抑制することにより血流促進作用を持つと考えられています。 また甘草に含まれる「グリチルリチン」は、カリウムイオンの週出を増やすことで、最終的に神経筋シナプスのアセチルコリン受容体に作用し、筋弛緩の働きをもつとされています。

 これらの作用により、筋痙攣を急速に緩解させる作用があると考えられます。

 芍薬甘草湯は、一日一包二週間くらいであれば、問題ないと言われていますが、大量長期連用によって「グリルリチン」が体内のコルチゾール代謝を阻害して偽アルドステロン症を発症することがあります。これは低カリウム血症を来たし、浮腫みや高血圧の原因となり実際に血圧上昇を認めることもあります。さらには横紋筋融解症を来すこともあるようなので、このようなことが起こらないように服用される人への注意が必要です。

こむらがえりの予防としては以下のものが挙げられます。

 

予防

 1.ウォーキング(歩行によりこむらを刺激しておく)

 2.寝る前にアキレス腱を伸ばす。マッサージする。

 3.足首を伸ばして寝ない(横向きで寝る、重い布団を避ける)

 4.原因の排除(内服薬の中止~変更、禁酒)

 5.芍薬甘草湯(眠前に一服) 長期的には八味地黄丸あるいは牛車腎気丸

 6.ダントロレン(ダントリウムカプセル)筋弛緩薬

 7.ビタミン剤、カルシウム、マグネシウムなどの摂取

 8.メキシチレン(メキシチールカプセル)不整脈薬

 9.抗てんかん薬、抗不安薬

 

といったところですね。


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こむら返り(こぶら返し、足が攣る)について


今回はこむら返りの話です。

こむら返りは、「こむらがえし」、「こぶらがえし」、「足が攣る」と表現され、医学チックには「腓腹筋痙攣」、西洋では「魔女の一撃」とかいうようです。

 

 こむら返りは一般には、

「運動中や睡眠時におこる筋肉(主に腓腹筋)の有痛性けいれん」

と定義されています。

 若い人であれば、運動中~後や水泳の後。それなりに年配の方であれば、「寝ていたら急に足が攣って・・・」とか、「最近よく足が攣り、眠れない」

いって来院される患者さんがいます。

 その原因は実は・・・よく分かっていないとよく言われます。ただし、原因ではないかと推測されているのが、以下の2つの説です。

 

1.電解質異常、脱水説

 こむら返りは運動中あるいは運動後などで起こりやすいため、発汗によるナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどの電解質異常、脱水などが引き金となるという説です。これは、熱中症の時に見られるけいれんのことを考えると納得しやすいです。

 

2.神経説

  筋疲労あるいは中枢疲労による過剰な神経反射によって筋肉と神経のバランスの異常が起こり、筋肉の収縮が連続することが原因という説もあります。 

 すこし難しい話になりますが、これには筋肉のなかにある2つの器官「筋紡錘」と「腱器官」が関係しています。運動は筋肉が骨を引っ張ることによりもたらされますが、筋肉と骨とを結びつけているが「腱」です。有名なのがアキレス腱ですが、腱はかなりしっかりとした構造になっています。

 筋肉と腱とが目一杯活動しようとすると、筋肉が切れたり(肉離れ)、腱が切れたり(腱断裂)します。そのため、筋肉と腱とは普段から、お互いを傷つけないように協調しています。それを調整しているのが、「筋紡錘」と「(ゴルジ)腱器官」です。

 例えば、筋肉が伸ばされると「筋紡錘」は「引っ張られた!」と感知します。さらに伸ばされると筋紡錘は働いて筋肉が損傷しないように縮もうとします。

 これとは別に、腱が持続的に引っ張られると「腱器官」がそれを感知し、脊髄に働きかけ筋肉が縮むのを抑制するように働きかけます。

 この働きから考えると、神経説による「こむら返り」の原因は2つありそうです。すなわち「筋紡錘」が過剰反応を起こし、筋肉が収縮し続ける状態。

もう一つは「腱器官」の働きが弱くなり、腱が引っ張られたことを腱器官が感知できなくなり、筋肉の収縮を抑制しないままとなった状態です。

 筋紡錘の働きが過剰となるのは、過剰な力が持続的に筋肉に加わったり、長時間の緊張状態が継続しているとき。すなわち運動中や後となります。

 もう一つの腱器官の働きが弱くなるとはどういった状態か?これは、筋肉の弛緩が長時間続く・・・→腱器官への刺激がない状態が長く続く・・・→腱器官が休眠状態・・・すなわち睡眠中がこれに相当します。

 こう考えるとわかりやすい・・・(そうでもない?)と思います。

 

でも、説が2つあるといっても両者が絡み合っていると考えてもよいと思いますね。

 

さて、こむら返りになりやすい人とは・・・以下の通りです。

 

1.高齢者、糖尿病、肝硬変、妊婦、下肢静脈瘤、関節炎、甲状腺機能低下症、副甲状腺機能低下症など

 

2.以下の薬物を服用あるいは摂取しているもの

 降圧剤(利尿剤)、脂質異常治療薬、ホルモン剤、インスリン製剤、アルコール摂取

 

3.スポーツ選手あるいは運動不足

 

 で、当院で多いのが、「糖尿病」と「下肢静脈瘤」の人です。なぜ、糖尿病と下肢静脈瘤でこむら返りが多いのか?

 

いずれ、そのうちに調べてみたいと思いますが、今日のところはここまで。


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なんとなく最近増えている?ぽっちゃり様御一行


 今回は医療とはあまり関係のないお話です。

 主にノンアルコールビールやナッツを購入するためではありますが、市内のスーパーマーケットに買い物にいくことがあります。店内を見回していて、最近ちょくちょく気になっていることがあります。

 なんと表現したらよいかと悩みますが・・・・・「ぽっちゃり様御一行」の存在です。

もしかしたら、以前から見かけていたのかもしれませんが、最近、お目にかかるようになった・・・そんな印象があります。

 もちろん、昔から過体重~肥満の人はいましたし、自分自身もそれなりの体重までいってしまったことがありますので、人様の体型に対してとやかくいう資格はないのですが、家族全員が「ぽっちゃり」というのはやはり目を引きます。

 

以前、NHKのEテレで放映していた「スーパープレゼンテーション」にて、ファーストフードの蔓延と肥満大国アメリカの信じられない実情を訴えたプレゼンを視聴したことがあります。その中で、肥満の親が信じられない量のピザ、ハンバーガー、ケーキ、清涼飲料水、ポテトを子供に提供。これが子供の肥満を引き起こしその結果、12歳で160kgとなった男子、あるいは16歳にして肥満のために余命6年と診断された女子がテレビに登場していました。

 

 神奈川県医師会によると、子どもに肥満が現れる確率は、両親が共に肥満の場合80%、母親が肥満の場合60%、父親が肥満の場合40%、両親共に肥満がない場合10~20%といわれています。

 

 もちろん肥満の原因は、過食や夜食といった食生活、ゲームやインターネットなどインドア生活による運動不足、そしてストレスなど、本人の生活習慣や性格などが関係することが大きいのですが、やはり家族の肥満といった環境因子も大きく関与していそうです。

 

 子どもは、「どのような食生活が望ましいか?」などとは自ら考えたりしません。食事の提供は親まかせなのが当たり前。食事の量が多かったり、カロリーの高い料理(揚げ物、炒め物)あるいは、炭水化物 on 炭水化物(ラーメン&チャーハンなど)といった料理がならぶ、あるいは間食が絶えないような家庭で育つ子どもは、やはり高カロリーな食事に慣れ、それを当たり前のように好んで食べるようになるのは当然に思えます。

 

あるいは、肥満になりやすい遺伝子というのもあるかもしれません。しかし、肥満の親を持った子供は、その体型であることが普通のこと感じ、自分が肥満であることを容易に受け入れてしまう可能性も高いと思います。「肥満は再生産される」ということでしょうか?

 

 根の深い問題なのかもしれませんが、膵臓、肝臓、腎臓あるいは心血管などの臓器、或いは骨格などに致命的なダメージを与えないうちに、なんとか医療的な介入ができればよいと考えているのですが・・・。

 

 禁煙と減量を経験した自分にとっては、両者のコントロールは非常に似たところがあると思っています。

 

 喫煙対策が子供への早期教育によって一定の効果が得られつつあるようなので、肥満対策も同じようにできないものかと考える次第です。

 

ちなみに、都道府県別ランキングサイトでは、2010年、青森県の小中学生の肥満率はとも男女とも第1位だったようです。同じ年の男性肥満率は青森県は47都道府県中9位でした。両者の分布図を比較すると肥満率は概ね一致してるようです(6年前のデータですけど)








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肺炎球菌ワクチンの予防接種について(その種類とお金の話)


 厚生労働省の平成 26 年 人口動態統計月報年計(概数)の概況の10頁によると、日本人の死亡原因は、がん・心臓病・肺炎の順となっています。平成23年より肺炎が脳血管疾患におきかわり死亡原因の第3位となりました。高齢化社会を迎えた日本にとっては、肺炎による死亡は増加傾向にあり、日本人の死因として無視することのできない状況となっています。

 こうした状況をうけて、厚生労働省は平成26年10月1日より肺炎球菌ワクチン(ニューモバックスNP)を定期予防接種(※)としました。肺炎球菌ワクチン(ニューモバックスNP)は一度接種すると5年間は効果があるとされています。

 厚生労働省は平成26年10月より5年間かけて高齢者全員への接種を目指しており、現在は経過処置の段階となっています。平成31年度からは65歳のものを接種対象者としていますが、その時点で最初の接種より5年を迎えたもの(おそらく、その時点で70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳となる者)については、「経過措置対象者の接種状況や、接種記録の保管体制の状況等を踏まえ、改めて検討する。」としています。

 

ちなみに、

平成28年4月1日から平成29年3月31日までの期間に厚生労働省が肺炎球菌ワクチン(ニューモバックスNP)の定期接種の対象として指定しているのは、以下の方となります。

 

1.平成28年度 経過措置の対象となる方

対象者 生年月日

65歳となる方 昭和26年4月2日生 ~ 昭和27年4月1日生

70歳となる方 昭和21年4月2日生 ~ 昭和22年4月1日生

75歳となる方 昭和16年4月2日生 ~ 昭和17年4月1日生

80歳となる方 昭和11年4月2日生 ~ 昭和12年4月1日生

85歳となる方 昭和 6年4月2日生 ~ 昭和 7年4月1日生

90歳となる方 大正15年4月2日生 ~ 昭和 2年4月1日生

95歳となる方 大正10年4月2日生 ~ 大正11年4月1日生

100歳となる方 大正 5年4月2日生 ~ 大正 6年4月1日生

 

2.60歳から65歳未満の方で、心臓、腎臓、呼吸器の機能に自己の身辺の日常生活活動が極度に制限される程度の障害やヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能に日常生活がほとんど不可能な程度の障害がある方

 

となっています。

ところで、肺炎球菌ワクチンは1種類だけではありません。日本で承認されている肺炎球菌ワクチンは、

「ニューモバックスNP(23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン)」

「プレベナー13(沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン)」

の2種類あり、公費助成で接種できるのは、「ニューモバックスNP」のみです。

 

 65歳以上に対する肺炎球菌ワクチンの日本での承認は、ニューモバックスNP23が1988年、プレベナー13は2014年となっており、プレベナー13の承認はつい最近の話です。

 

 プレベナー13の利点は肺炎球菌が常在している鼻や咽頭粘膜の免疫を誘導、活性化することです(ニューモバックスNPには粘膜の免疫を誘導する作用はありません)。また免疫が得られる期間でいうと、ニューモバックスNPが5年間、プレベナーは生ワクチンであることから、終生免疫となっています。

 

 両者間の比較では、肺炎球菌の予防効果は「プレベナー13」の方が「ニューモバックスNP23」よりもやや高いと評価する専門家の意見が多いようです。もちろん、同時接種はできませんが、時期をずらして両者を併用するとより効果が高い(ただし、日本人でのデータはない)といわれています。

 

 厚労省は、プレベナー13の公費助成を認めていませんが、その理由は以下です。

・沈降13価肺炎球菌結合型ワクチンの高齢者における臨床での予防効果に関する評価は確立していない。

・近年、ワクチンで予防可能な肺炎球菌血清型の疫学データは変化している。

つまり、データの蓄積が少ないので、まだ認めていないということのようです。

 

ちなみに、弘前市在住のかたが、当クリニックで肺炎球菌ワクチンの接種を希望された場合

「ニューモバックスNP」

 公費助成対象となる方(65歳、70歳・・) 5,000円

 自費(65歳以上で対象者外の方) 8,000円(税込)

「プレベナー13」

 自費(65歳以上の方)    10,000円(税込)

となります。

 

 そこで、現在、66歳。昨年に肺炎球菌ワクチンを公費助成で接種しなかった方 はこう考えるかもしれません。

「自費で払って肺炎球菌ワクチンを受ける必要ある?いまさら馬鹿くさい」

 現在極めて健康で、持病もなく、タバコも酒もやらないという人にとってはその答えはありません。健康に対する考え方は人それぞれだからです。

 ただし、目一杯、タバコをすっていて呼吸機能の低下している方、心臓病や腎臓病のある方、糖尿病、癌、肝硬変などで免疫機能の低下している方などに対しては、「接種して下さい」といいたいです。

 

「70歳になるまで待つべし!」

 それは、ちょっとやめた方がいいです。現在70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳以上の方が公費助成をうけているのは、あくまで経過処置です。平成31年以降は65歳だけと決定しています。

 

以下は、合理的と思われる肺炎球菌ワクチンの摂取方法です。

①これから初めて肺炎球菌ワクチンを接種する高齢者で65歳以上の基礎疾患がある方 

プラベナー13を先に接種→半年~1年後にニューモバックスNPかプラベナー13を追加接種

②65歳以上でPPSV23を接種したことがある基礎疾患のある方 

ニューモバックスNP23 から1年以上あけて、プラベナー13を追加接種

③問題となる基礎疾患がない65歳以上の定期接種対象者

ニューモバックスNPを打った後、効力が弱くなる前にプラベナー13を追加接種

④施設入所者には、ニューモバックスNP(PPSV23)が、実績が豊富。

 

(※)定期予防接種と任意予防接種について

予防接種には、法律に基づいて市区町村が主体となって実施する「定期接種」と、希望者が各自で受ける「任意接種」があります。

接種費用は、定期接種は公費ですが(一部で自己負担あり)、任意接種は自己負担となります。

市区町村が実施する予防接種の種類や補助内容の詳細については、市区町村などに確認しましょう。

定期の予防接種による健康被害が発生した場合には、救済給付を行うための制度がありますので、お住まいの市区町村にご相談ください。

任意予防接種によって健康被害が起こったときは、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法による救済制度があります。 

 

参考までに、「プレベナー13」と「ニューモバックスNP23」を併用することについて、厚生労働省は「問題はない」という見解を示しています。


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外反母趾、開張足、ハンマートウ、糖尿病足病変など・・・と「義肢装具士」さんのこと


 先週と今週、クリニックに義肢装具士さんをお招きして患者さんの靴のことについて相談に乗ってもらいました。この義肢装具士さんは、以前にわたしが勤務していた病院にもお越しいただいてましたので、旧知の間柄です。

 

 義肢装具士とは、「厚生労働大臣の免許を受けて、義肢装具士の名称を用いて、医師の処方の下に、義肢及び装具の装着部位の採寸・採型、製作及び身体への適合を行う人(by Wikipedia)」のことをいいます。最近だと、NHKでパラオリンピックの支援や、病気や事故で足を失った女性のおしゃれをお手伝いしている義肢装具士さんの放送があったばかりなので、イメージしやすいかもしれません。義肢装具士さんの役割は、機能回復という点では理学療法士さんの仕事にも少し似ています。(理学療法士さんが、肉体や精神、言語などを対象としているのに対して、義肢装具士さんは生体と器械の両方を対象としています)

 

 義肢装具士さんについて、以前のわたしのイメージは、「整形外科医と協力して、手足を喪失した人のための義手・義足を作る医療関係者」というものでした。しかし、わたしがフットケア、フットウェアという概念と出会い、その後、義肢装具士さんと、いっしょに仕事をするようになってみると義手・義足だけではないということを知りました。

 現在、わたしの「義肢装具士さん」に対する解釈は拡大しており、「肢や手足などの形態的な変化により、失われた身体機能に対して装具を作成したり、適合させたりして、回復させる手助けしてくれる人」となっています。

 

 ところで、今のクリニックには巻き爪や胼胝へのフットケアを求めていらっしゃる患者さんが多いのですが、その方たちは同時に外反母趾や開張足などでも悩んでいらっしゃいます。

 実際、多くの方が悩みを抱えているにもかかわらず、どうしたらそれを解決できるのか知らないでいることは、実に多いです。患者さんのなかにはかなりひどい外反母趾の方でも、それが医学的な治療の対象になることもあるとは知らずに、市販されている外反母趾グッズを何種類を試したり、それでだめなら我慢していることが殆どです。義肢装具士さんは、こうした患者さんに正しい装具を与え、さらに適合してくれるのでとても助かります。

 

 いまは、百円均一ショップにいけば、さまざまなフットケア用品を入手できるので便利な世の中になりました。しかし、義肢装具士さんの仕事ぶりを実際に間近で観察していると、医師からみても「さすが、プロ!」と感心します。(わたしのレベルが低いというだけの話かもしれませんが・・・)

  「義肢装具士に一度相談してみること」

 足の変形により、痛い、歩行がうまくできずに困っている。本当に自分の足にあった靴をお探ししている人には是非オススメですで、一度相談する価値があると思います。

 

 

 以下、余談です。

 ずっと以前の話になってしまいますが、外来に来た患者さんとたまたま足の変形と靴の話になった際、中敷きの話になりました。患者さん(高齢のご婦人です)は「以前、訪問販売で購入した」といってある中敷きを見せてくれたのですが、それは黒のプラスチック製で、見た目は「思いっきりチャチイ・・・」というシロモノでした。患者さんは、大まじめに「これが3万した!」とおっしゃいます。

 

「いくら何でもこれに3万円は無いだろう・・・」とツッコミたくなりました。

 あるいは患者さんが話を盛っているという可能性もありましたが、本当だったら患者さんがかわいそうなので、とても「チャチイですね」とは言えませんでした。

 考えてみると、セールスマンがよほど売り込み上手だったか、あるいは、患者さんは外反母趾の足にあう靴がなくて、歩くと痛くてよっぽど困っていたか・・・などとは容易に推察されますが、随分な話です。

 

 実は、わたしの経験とほとんど同じ話を、フットケアに携わる別の先生の講演(それも複数!)でも聴いたことがあります。きっと各地で発生していた事象なのでしょう。その最高額はなんと「9万円」でした!世の中は広い。でも、ネットで検索してたら、昨年書かれたとあるブログで同じものを購入した人がいて、なおびっくり!それも「10万円で」という・・・いったいどんな世界なのかと思って調べたら、ネットにいろいろな事が書いてあり納得!

それでは。

(調べたい方は、「超高額なインソール」というキーワードで検索してください) 


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過体重~肥満による下肢腫脹に対する漢方、弾性ストッキングおよびメドマーによる間欠的空気圧迫療法


 「下肢の浮腫」として受診される患者さんの中には、様々な方がいらっしゃいます。原因のはっきりしているもの、明かでないものなどいろいろです。

 長い立ち仕事、座りっぱなしによる浮腫み、飲み過ぎ、食べ過ぎによる浮腫み、塩分の摂りすぎによる浮腫み、ストレス、寝不足、運動不足による浮腫みです。これらは若い方であれば生活指導によりほとんど改善するのですが、高齢者で多いのが、身体能力低下による座りっぱなしによる浮腫です。特に脚力の低下や関節痛などにより車椅子生活になった患者さんでは、施設や自宅でほとんど一日中座していることが多く、下腿の筋肉を使わない。こうした状況だと下腿静脈血の血液の鬱滞がおこり浮腫みやすい。

 

 さて、正確には浮腫みではないのですが、「浮腫む」といって受診される患者さんのなかに、ときどき、「過体重~肥満」の方がいます。下腿においては通常、皮下脂肪の増大は起こりにくいのですが、運動不足の患者さんでは、下腿の筋肉の全般的な脂肪化、および皮下脂肪の高度貯留が生じてきます。こうした肥満により下腿の腫脹~浮腫はかなりはかなり厄介です。

 こうした患者さんの多くが、高齢で、女性で、膝関節に痛みを抱えており、更に下肢の筋肉量の低下、筋肉の脂肪化によって運動能力が低下しています。厳しい食事制限を行えば、更に筋肉量が低下し、ロコモティブシンドロームに陥るのは目に見えています。こうした下肢肥満の患者さんを診察すると、皮下脂肪が硬化して動きがわるく、車椅子に座って入室してきます。

 ところで、こうした患者さんの治療方法として当院では最近、防已黄耆湯の内服と、弾性ストッキングの着用、間欠的空気圧迫療法を行っています。現在は一回につき20分間で、週に3回ほど通院していただいています。

 間欠的空気圧迫法は「脂肪性浮腫」に対しても用いられている治療法なのですが、これによってある変化がみられるようになりました。それは、下腿の皮膚および皮下脂肪が柔らかくなることでして。柔らかくなるとどうなるか?これによって患者さんの下肢の動きが改善してきました。また、防已黄耆湯と弾性着衣の効果なのか尿量も増え、やや浮腫んでいた下肢の腫れが改善しつつあります。

 現段階では、小さな変化なのですが、こうした患者さんのほぼ全てが改善効果を実感しています。この治療にどこまでの改善効果と未来が見えるのかはいまのところ不明ですが、できればそのうちに科学的な評価を行っていきたいと考えています。

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シャントPTAの時に、たまたま感じたモノ作りに対するメーカーの姿勢の違いというか・・・


9月8日木曜日午後はお外でのシャントPTA(血管拡張術)でした。

 

わたしのシャントPTAは、上腕動脈の順行性アプローチか、橈骨動脈の逆行性アプローチで行っています。

 

動脈アプローチのよいところは、シャント回路が閉塞に陥った状況でも何とか、再開通できることです。

今回は上腕動脈アプローチだったのですが、DSAを行うと奇しくもシャントの流出路本幹が、吻合部より4cmで閉塞となっていました。前回に施行したシャントPTAの画像とはかなり異なる状況となっていたのですが、側副路が形成されており中枢側は描出されていたので再建可能と判断。

 なんとか閉塞部にガイドワイヤーを挿入して、そのまま進めて閉塞した7-8cmほどの病変にガイドワイヤーを通過させ、それにバルーンカテーテルを通過させてバルーン拡張。閉塞したシャント回路の再開通に成功しました。(画像をお見せできないのが残念ですが・・・)

 

 ところで、今回使用した治療器具に関するお話。

 血管形成術(シャントPTAなど)に用いる道具には不思議な関係があります。通常、イントロデューサーシースとバルーンカテーテルとは、お互いの相性というか「適合サイズ」という関係があります。いつもわたしは、

A社の 3Fr イントロデューサーシースに、

B社の径4mm、長さ40mmのバルーンカテーテル(シャフト径3.8Fr)

を挿入してシャントPTAを施行しています。

 B社のバルーンカテーテルの「適合シースは4Fr」なのに、なぜか、A社の「3Fr イントロデューサーシース」内を通過させることができるのです。細いシースの中に太いカテーテルを通過させることが出来る・・・・これは「インチキ」です。(実はシャフトのテーパーリングが関係していますが・・・)

 

 今回はたまたま、いつもと違うC社のバルーンカテーテルを用いたのですが、バルーン径4mm、長さ40mmで同じ。シャフト径はB社のものより細い「3.7Fr.」と表示されていました。適合シースの表示はやはり「4Fr」でしたが、”B社3.8Fr. > C 社3.7Fr. ”と考え、B社のものと同様にA社の3Frのシース内を通過させることは可能だろうとみていたのです。しかし、試しに人体外でやってみたところ・・・C社のバルーンカテーテルはシースを通過できませんでした。このため御推奨通り、4Frのシースを上腕動脈に穿刺して治療をおこないました。多分バルーンの部分が肉厚となっているため通過できなかったのだと思います。

 もちろん、C社は規格通りの製品を提供しているので、C社になんの落ち度はないのです。しかし、動脈穿刺アプローチでやっているわたしとしては、B社のバルーンカテーテルだと3Frのシースを通過させることができ止血が楽なので、「インチキだけど・・・嬉しい」感があります。

 

 参考までに、この日、C社のバルーンカテーテルが破裂するまでの圧をみたところ、24-26気圧位で破裂しました。B社のバルーンカテーテルは以前の確認では、22気圧で破裂したので、若干C社のバルーンカテーテルの方が耐圧が高い印象でした。

 

 このへん、「要領の良いB社と真面目なC社」ということで、B社とC社のモノ作りに対する姿勢の違いを実感でき、面白いと思いました。

 



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のだクリニックに管理栄養士さんが常勤している理由


 のだ眼科・血管内科クリニックでは常勤の「管理栄養士」さんがいます。

 

 栄養に関する指導や給食管理を行うのが一般にいう栄養士の仕事ですが、「栄養士」と「管理栄養士」とは異なります。

 栄養士法でいうと、「栄養士」は、都道府県知事の免許を受け、主に健康な方を対象にして栄養指導や給食の運営を行います。これに対して「管理栄養士」は厚生労働大臣の免許を受けた国家資格です。病気を患っている方や高齢で食事がとりづらくなっている方、健康な方一人ひとりに合わせて専門的な知識と技術を持って栄養指導や給食管理を行います。

 

 さて、なぜ「のだ眼科・血管内科クリニック」に管理栄養士が常勤しているのか?これって、医師の教育過程との絡みがあります。わかりやすい例えかどうか・・・以前、病院に勤務していたころの話をします。

 私が担当している動脈硬化の患者さんの治療が無事終了。患者さんに治療経過などを説明して、さて、退院当日の朝の会話の一部を紹介します。

  野田医師:「治療がうまくいって良かったですね。今日で退院ですが、何か質問はありますか?」

 患者さん:「へばだば先生、退院したら~どしたらだもの、喰ぇばいいだべのぅ?」

 野田医師:「これからは、しょっぱいものや、油っこいものは避けましょうね、それとタバコは当然やったらダメですね・・・(内心:ああーわかりきったことばかりで、何か気の利いたことは言えないなぁ・・・)」

 患者さん:「やっぱ、そんですか?そんだよなぁ、しょっぺえものばし~、一杯喰ってたからなぁ・・・(内心:そいだらわも知ってるじゃ。先生も、案外当たり前のことしかいわないもんだなぁ~・・・)」

 

 という感じです。「医食同源」ということばにあるように、患者さんは自分の食べるものが、自分の病気と深く関わっているのではないか?と実感しています。だから、医師に「どのようなたべものに気をつけていれば、自分は辛い病気にならなくて済むのか?」と聞いてくるのです。そして、患者さんは、病気の専門家である医者が病気にならないような食べ物の話をしてくれるのが当たり前だというように思っているのです。

 

しか~し、胸を張って言うことでは無いのですが、実は、

 

医師は栄養学についての殆ど講義を受けておらず、知識はほぼほぼありません。(・・・今の教育制度はわかりませんけど、少なくとも私たちの年代はそうでした)

 

なので、医師に「何を食べたらいいですか?」という質問は、魚屋さんに「どんなパンが美味しいですか?」と聞くようなものなんです。

 

 というわけで・・・、わたしが立ち向かおうとする血管病の代表である「動脈硬化」に対しては、それの原因となる、「高血圧」、「糖尿病」、「脂質異常症」、「高尿酸血症」などの治療をキチンと行い、また「禁煙」もさせつつ、これらの疾患をコントロールしていくことがなによりも大事なのです。

 そして、高血圧、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症については、きちんとした栄養学の知識をもち、食事指導のできる人がパートナーとして必要なんだとわたしは考えています。

 

 以上、長々と書いてきましたが・・・というのが、本日のタイトルの答えとなります。

それでは。

 

 


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北日本インターベンショナルラジオロジー研究会@秋田市にぎわい交流感AU


 9月3日土曜日、秋田市で開催された第29回北日本インターベンショナルラジオロジー研究会に参加してきました。参加といっても午前中の外来診療を終えてからJRに乗り込み、午後3時半に会場到着。研究会が午後5時終了。という次第なので、ちょっと顔をだしたという程度。

 行きの列車でプログラムに目を通していたのですが、動脈硬化治療あるいは静脈疾患に対する演題は一つも見当たらず。自分的には寂しい限りでした。放射線科IVR医の殆どが血管疾患から手を引きつつあるということを思い知らされ、いくばくかの寂寥感(とうのか?)を味わい、そして時代の流れを感じさせられました。

 2時間あまりの列車でしたが、会場にたどり着きなんとか「骨盤領域」、「リンパ管」のIVRの2つのセッションに口演間に合いました。まあ、自分の過去の経験と照らし合わせながら、口演を拝聴しました。・・・で・・・いくつかの気づきがありました。

 一つは、今回の口演で呈示された手法を応用していれば、過去の時分には到底治療が困難と思われた患者さんを助けることができたかもしれないこと(・・・気づいた時にはとても口惜しい気分を味わいましたが・・・)

 もう一つは、過去の技術に新しい発想と現在のデバイスや技術を導入することで、新たな治療を創生できるのではないか・・・ということでした。

 いずれにしても日頃から地道に「知識」と「技術習得」を吸収していく、ということが重要なのですが、さらに研究会や学会に参加することで、新しいことに触れることで、別な発想を得たり、モチベーションを刺激したり、テンションを上げるのが、実に貴重なことだと感じました。

 多分、年齢とともにこうした会に参加することが億劫になりそうなのですが、なんとか頑張って参加しつづけるようにしたいと思います。

 

 研究会後の懇親会に参加したのですが、北海道のとある先生と現況についてお話しました。

「実は開業したんです・・」というと

「いつから開業を考えられていたのですか?」と質問された。そこで、

「これまで自分は大分長いこと「閉塞性動脈硬化症」の治療をやってきた。治療を長く続けているうちに、やはり「閉塞性動脈硬化症」というのは動脈硬化の最終段階なんだな・・・と。そして動脈硬化を予防したり、更に進行させないようにすることが大事なんだな・・・・と、そのためには、高血圧や糖尿病といった疾患をしっかりコントロールしていくことの重要性を実感するようになった。その頃から、開業して患者さんを診るということを意識するようになったかなぁ」

 というような話を回りくどく話した。その先生も

「わたしも循環器内科の先生と話をしたときに、『動脈硬化症のカテーテル治療をするには腎機能が良くないとダメだし、その前に高血圧や糖尿病などの病気についてもコントロールしていくことが大事。動脈硬化にさせないための治療も循環器内科の醍醐味なんだよ』といわれたことがありますよ・・・」

 という話をされた。思わず、

「その話は自分にもとてもよくわかります・・・」

と答えた。今にして思うと、やけに遠回りしたような・・・気もするが。

まあ、これからやることが地域にどう役立つか、それがわかるのは、更にずっと先のことになると思うが、高い志をもってがんばろうと思う。

 【図】

会場となった「秋田市にぎわい交流感AU」でした。

最後のAUは”えーゆー”ではなくて、”あう”と読むらしいです。

 写真を取り忘れてましたが、当日は市民お祭りが開催されており、親子連れで賑わっていました。セグウェイのおもちゃみたいな乗り物が試乗できたり、地域の物産などさまざまな出店があり、楽しそうでした。

 研究会の会場は広く、舞台形式でスライドがとても見やすくよい施設でした。さらに、司会進行もとてもスムーズで、良い研究会でした。


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当院における弾性ストッキング(ハイソックス)の最近の状況


 当クリニックでは血管内科ということから、下肢静脈瘤の患者さんが受診します。このため、複数のタイプの弾性ストッキング(以下ハイソックスタイプも含めます)を用意しています。それぞれに特長があるため、患者さんの状況や要望に合わせた製品をお勧めしています。

 

 特に夏場の弾性ストッキングは暑苦しく、汗ばむために着用も面倒です。また汗やこすれなどによって皮膚のコンディションも不安定となるため、ストッキング選びや着用方法には工夫が必要です。

 いまは、一般的なタイプのハイソックス以外に汗をかいてもさらっとしている「薄型」のもの、「つま先無し」のものなども扱っています。「つま先無し」のタイプは着用のための補助具もあるため、弾性ストッキング特有の「履きにくさ」はだいぶ緩和されます。また、ハイソックスタイプでは折れ返しの部分で皮膚への接触が強くなるためスキンケアも重要です。皮膚にかぶれが生じた場合に備え、軟膏を処方したり、特殊なテープを貼付してもらうなどしてスキンケアに努めています。

 ところで、最近、当院で注目しているのが、日本のグンゼが製造し、ジェイエムエスが販売している「レッグサイエンス舞」という製品。実は、弾性ストッキングの業界は外国製品が非常に優勢かつ優秀な製品が多いです。そして外国製品でも割と日本人の足に合わせて設計、製造されてはいるのです。がしかし、「舞」はやはり日本のメーカーが設計、製造しているということもあって、日本人の足に対するフィット感が一段とよい印象です。また下着メーカーということもあって肌触りがとてもよく、脛のあたるところが幅広いために、かぶれにくいようです。テカリもなく、しわにもなりにくい。もちろん、最終的に良いか、悪いかを判断するのは患者さんですが、目下のところ評判は上々です。

 他の会社の製品と比較すると若干厚手な感じがするので、いまの時期はまだ暑苦しいかもしれませんが、これからの時期から冬にかけて更に評判があがりそうです。

 

 (※今回のブログはある患者さんからいただいた一言がきっかけだったのですが・・・いずれその患者さんのお許しがあれば、詳しくお話をしたいと思います。)

 

↓ 当院の在庫とレッグサイエンス舞の箱です。

 



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久しぶりの下肢の血管形成術


今日は外カテ。

 久しぶりの下肢血管拡張術。石灰化のやや強い浅大腿動脈の狭窄に対して治療を行いました。

今回は、ボストン社製の新しい浅大腿動脈用のステント「INNOVA」を初めて使用してみました。治療前に実際のステントを見せていただきましたが、屈曲に強いステントデザイン、両端がクローズドセルタイプとなっており、フレア構造でないことから、スリッピングが少ないのではないかと予測されました。また、デリバリーシステムが二重構造となっており、リリースが安定性に優れているという製品でした。

浅大腿動脈病変に対しては、順行性穿刺でアプローチしたため、穿刺点から病変部までの距離が近すぎる状況となり、当ステントのデリバリーシステムの特長を上手く利用できないということから、総大腿動脈にロングシースを順行性に挿入してアプローチしました。狭窄部位を確認後にバルーンで前拡張し、その後ステント留置です。

今回はステントのリリースの始めに若干の調整を必要としましたが、リリース中とフィニッシュまでは非常に安定しており、評判通りの製品でした。グッ!

 

治療もトラブル無くうまくいって満足です。そして何より、患者さんの症状が改善することを願っています。

 


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貧血あれこれ・・・


以前は、動脈硬化の患者さんを診察する機会がとても多かったと思います。動脈硬化のある患者さん・・・・といえば、やはり御高齢の方が殆ど。このような患者さんを診察していてふと、「何かいつもより顔色が悪いなあ・・・・」と思い血液検査をしてみると割と高い確率で「貧血」が見つかります。高齢者の貧血で一番注意しなければならないのは、消化管からの出血です。そのため、「便中ヘモグロビン検査」のキットをお渡しして、自宅で検査を行なってもらいます。「便中ヘモグロビン検査」は、患者さんに便を採取してもらい、それをスティックを指したり、ブラシでこすったりしたものを病院まで持参していただく検査です。もし、便中ヘモグロビン検査が「陽性」とでた場合、どうするかというと消化器内科の先生に上部や下部の内視鏡をお願いします。すると、「胃がん」や「大腸ポリープ」、「大腸癌」などを見つけてくれます。

 

 ・・・・というのは、これまでのところ。「のだ眼科・血管内科クリニック」を開院してみると、就業されている女性が定期健康診断の結果を受けて、精密検査のために受診されることがあります。すると意外にも「貧血」で引っかかってこられるかたが多いのです。それも「鉄欠乏性貧血」が多い。

 「食事はどのように取ってますか?」と聞くと「普通に食べている・・・」というお返事が多いのですが、精密検査の結果では明らかに鉄分が足りないようです。

 「鉄欠乏性貧血は女性の10人に1人」といわれる先生もいるので、比較的多い疾患だと思っていたのですが、やはり多いようです。もちろん、念のために「便中ヘモグロビン検査」も行った方がよいのでしょうが、他の多くは子宮筋腫があったりします。

 

 今回のついでに調べてみると、鉄欠乏性貧血は思っていたよりも多彩な症状を訴えることがわかりました。

 

・疲れやすい     ・寝起きが悪い

・風邪をひきやすい  ・むくみがある

・便秘や下痢     ・食欲不振

・吐き気がする    ・動悸、息切れ

・胸が痛む      ・頭痛、頭重

・冷え性       ・月経の異常

・神経過敏      ・注意力低下、イライラ

・髪が抜けやすい   ・歯茎の出血

・アザが良くできる  ・湿疹ができやすい

・顔色が悪い     ・のどの不快感

・立ちくらみ、めまい、耳鳴り

・肩こり、腰痛、背中の痛み

 

などなど多彩な症状が見られるようです。

また、別の症状として興味深かったのが、鉄欠乏性貧血になると・・・・

 

「氷を大量に食べたくなる」

 

というのが、ありました。メカニズムはまだ不明だそうですが、これは、氷食、氷食病などと呼ばれ、鉄欠乏性貧血が原因としてあげられることがあるということでした。原因は諸説あるようです。

 

1.鉄分が不足することによって、口腔内の体温調節が上手くできず、氷で体温を下げようとする・・・・

2.貧血による食べ物の好みの変化

3.脳の酸欠状態による自律神経機能の乱れの影響

 

 などだそうです。諸説入り乱れており、まだはっきりとは解明されていないのが現状のようです。なんとなく・・・鉄欠乏性貧血は、冷え症になりそうで氷・・・?って思っていたのですが、面白い症状ですね。ちなみに、氷皿1つ分氷を食べてしまうなどの場合は、鉄欠乏性貧血を疑ってみることも必要だとのことでした。

 

 なお、現在人は鉄分の摂取が少なくなっており、その摂取量は戦前よりも低いレベルとのことでした。

鉄の補充にはとうぜん「レバー」がよいとのこと。

 しかし、昔に較べると自分自身もあまりレバーは食べなくなりました。

そう言えば、「レバニラ炒め・・・」って最近食堂のメニューから消えつつあるように思いますが、気のせいか・・・?

 

安くて良い食材なのですが、今日見たスーパーマーケットで売れ残っていて割引になっていたし、お総菜コーナーでも殆ど見ないですね。こうした状況(社会情勢の変化とまでは言えないが・・・、やはり最近は内臓肉系より、バラやロース系が主流)が、鉄欠乏性貧血に影響しているのでしょうかね。 


「レバニラ?いつもの餃子は?」「いま、ひーんーけーつ!」



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当院での陥入爪治療について


 開院してから、約1か月になりますが、これまでに三名の患者さんの陥入爪の小手術をおこないました。当院ではやや重症な陥入爪に対しては「ガター法」という方法で治療しています。

 陥入爪による疼痛の原因の多くが足の爪の端が、内側から趾先に食い込むことで発症します。その原因の多くは誤った爪切りが原因です。

 軽症の陥入爪に対してはコットンパッキングと医療用アロンアルファで対処可能ですが、ひどくなると簡単な手術「ガター法」が有用です。

別に珍しい方法でもないのですが、痛みはかなり楽になるようです。

手順は、

1.最初に消毒

2.治療趾の神経を麻酔でブロックする。(麻酔が効くまでに少し時間がかかる)

3.爪縁を爪ゾンデで掘り起こし、チューブを挿入するスペースを作成する

4.縦に裂いた点滴チューブを爪縁の先端から爪縁に沿って挿入する

5.チューブと爪をナイロン糸で固定する。

6.最後にアロンアルファをチューブに流しこんで全体を固定し安定させる。

 

という、まあ、簡単な手術なんですが、これを考えた人は頭良いですね。手技は簡単にできる。長期的にみておかしな再発を起こすことがない・・・など、フェノール法などに較べると理にかなった方法だと思います。

 

私は、以前の職場での経験を含めてこれまで30人ほどに施術していますが、かなり良い感じです。

 

「若年者での爪菲薄例」あるいは、「抗がん剤(分子標的薬)での治療によって爪全体が菲薄化している症例」を除けば、再発も少ない。

やや重症の陥入爪の方にはとてもよい方法と思います。

 

 陥入爪でひどくなった肉芽に対しては、超強力なステロイドの塗布あるいは、絹糸で縛って壊死させるなどで対応しています。壊死を起こさせる軟膏(亜硝酸の入った軟膏)も以前に薬局にお願いして作ってもらったたことがありますが、直ぐにダメになってしまうので使い難いです。

ガター法については下記にリンク張っておきます。


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当クリニックの「ロゴマーク」について


今回は当クリニックのロゴマークについてです。

当院のロゴマークは見た感じのままで「ふくろう」です。私は適当に「ふくろう君」と名付けてます。

このロゴマークを制作してくださった方は、

「ふくろうは夜目が効き、非常に眼がよいことで知られていて、眼科医院のロゴマークとして用いられることの多い動物です。ふくろうの顔の周りに静脈を意味する青と、動脈を意味する赤をハート型にあしらい、クリニックからの気持ちを込めて作成しました」とのコメントをいただきました。おまけに小さいながらも足もキチンと描かれています。

 「クリニックのロゴマークをどうしようか」と思った際、いろいろと考えてクラウドソーシングの会社にお願いしました。その後、様々なクリエイターの方々から、「NODA」の頭文字の「N」をモチーフにした、たくさんのロゴマークのご提案をいただきました。どれも素晴らしい御提案ばかりでした。

 このロゴのご提案をいただいたときの最初の印象は、「これってロゴ?”N”がはいってないし・・・」。他に御提案いただいた数々のものとの違いに戸惑いを感じました。しかしなんとなく、「味がある・・・」、でもって「インパクトがある・・・」などなど心に引っかかるロゴだと感じられました。最後には康子先生と娘の推薦もあって「ふくろう君」に決定となりました。

 最初は、「ヘンなロゴ!?」とおもっていたのですが、いまではかなり気に入っています。当クリニックの特徴である「眼と、足と血管」のイメージにとてもふさわしいロゴマークだと思っています。

 なまえはとりあえず、「ふくろう君」なんですが、私にはネームセンスあまりないんで、なんかいい名前をつけてやりたいとおもっているのですが・・・いずれそのうち。

とりあえずクリニックともども、「ふくろう君」をよろしくお願いします。

 


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深部静脈血栓症と肺塞栓症の話


 懇意にしていただいている整形外科の先生から、時々患者さんを御紹介されることがあります。「深部静脈血栓症(しんぶじょうみゃくけっせんしょう)」の精査を行うためです。検査はCTで行いますが、深部静脈血栓を確認することだけではなく、「肺塞栓症(はいそくせんしょう)」の有無をチェックするという意味合いもあります。
深部静脈血栓症は「変形性膝関節症(へんけいせいしつかんせつしょう)」や、「大腿骨頸部骨折(だいたいこつけいぶこっせつ)」などで、下肢をあまり動かせない状況で発症します。
 CT検査を受けられる患者さんの多くは、深部静脈血栓が見つかっても小さいものが多く、採血で「D-ダイマー(※)」という数値をこまめにチェックしておけば、一般的にはあまり問題の無いことが多いようです。
しかし時に大きめの血栓を認めたときには、患者さんに抗凝固薬(こうぎょうこやく)を内服してもらったり、下大静脈フィルターという器具を血管内に埋め込んだりすることもあります。
 ところで、深部静脈血栓症はストレスや運動不足でもおこることが知られていますが、深部静脈血栓症が悪化すると深刻な肺塞栓症(はいそくせんしょう)を引き起こし時に急死に至ることもあります。これは、飛行機の狭い座席に長時間におしこめられて座った際や、震災などで狭い自動車内に長時間過ごしたときなどに発症する「エコノミークラス症候群」そのものです。
 1990年代前半のとある冬の日。医師になって数年たったころの救急当直の夜。救命外来に70歳台の大柄(相当な肥満)な患者さんが救急車で運び込まれてきました。家族に尋ねると「こたつに座ったままテレビを見ていて、トイレに立ち上がって数歩あるいたところで、「胸が苦しい」といって急にくずれ落ちて倒れた!」ということでした。患者さんは一日中こたつでゴロゴロと過ごしており、起き上がるのはトイレくらいだったとのことでした。
 患者さんが救命外来に到着したときには、意識もあり、お話もできたのですが、その後点滴を開始するかしないかのうちに、みるみる顔がどす黒くなりました。チアノーゼです。その後全身けいれん!心停止。循環器内科の先生、スタッフらと懸命に心肺蘇生をおこないましたが、あっという間にお亡くなりになってしまいました。
 何もできないうちに目前で患者さんが亡くなってしまった・・・というショックな出来事だったので、未だに鮮明に覚えています。なぜ亡くなったのか?死因はなんだったのか?その場にいた医療関係者は皆、唖然とした状況でした。それでも、亡くなったからには何らかの死因があったはずです。
 「死因」について心肺蘇生をおこなった循環器内科の先生と相談。先生は「心臓急死の場合は心筋梗塞、心筋症、不整脈などが考えられる・・・」とおっしゃわれました。循環器の先生も私もすっきりしないものがありましたが、とにかく死亡診断書には死因を記載しなければなりません。そのため直接死因の欄に「急性心不全」、その原因の欄に「急性心筋梗塞」と記載しました。しかし、本当に急性心筋梗塞だったのか?とう疑問が残り、モヤモヤした気分がしばらく続きました。
 それよりしばらくして、廊下を歩いていたところ、くだんの循環器内科の先生に突然声をかけられました。
 「あの患者さんは、急性肺塞栓症だったと思う。ただ、もし直ぐに診断がついたとしても、あの急激な進行では結果は変わらなかったと思うけどね・・・」
 と大変残念そうにおっしゃっていました。なるほど、そうか!
 あとから考えると肥満、長期臥床、こたつでの脱水により、深部静脈血栓を発症し、トイレに立ち上がった際に血栓が移動して急性肺塞栓症を発症。その後肺動脈の血流障害にて急性右心不全となり胸痛を自覚。救急車で救命外来へ。その後肺循環不良となり、酸素-二酸化炭素のガス交換が出来ず、チアノーゼになり・・・急死にいたった・・・という状況だったのかと納得しましたが、当時「急性肺塞栓症」はまだまだ珍しい病気でした。(上図参照)
 
 数年前にも、外来に「こたつで2日間ゲームに夢中になっていたら急に足が腫れてきた」という患者さんがいらしたので、調べてみたら、なるほど深部静脈血栓症でした。この患者さんも場合によっては命を落とすところだったかもしれません。(しかし、いくらなんでもいい大人がゲームに夢中になりすぎだろうと思いましたが・・・、「血栓性素因」を有していることもまれにありこうした方は要注意なのです。血栓性素因の話はいずれそのうちに・・・)
 いろいろなところに血管病のリスクは潜んでいます。血管を診察する医師としては、足が腫れたという患者さんがいらしたら、他に明かな原因がない場合は、「Dダイマー(※)」を測定して血栓ができてないかどうかを確認することが、必要と考えています。

※「Dダイマーとは」

左図が血栓です。

赤い円盤状のものが赤血球、ピンクが血小板、白い網状のものがフィブリンです。

Dダイマーは、血栓を形成しているフィブリンがプラスミンという分解酵素によってバラバラになったものの最終産物です。これを測定すると身体のなかに血栓が存在したことがわかります。


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更年期女性の高コレステロール血症


 「健診でコレステロール値の異常を指摘されました」ということで、当院を受診される方が最近ポツリポツリといらっしゃいます。大抵は更年期といわれる年代の女性です。これは閉経により女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が低下することが原因だといわれています。

 

 一般に閉経前の女性はコレステロール値が異常になることは殆ど無く、動脈硬化にはなりにくい。これはエストロゲン(女性ホルモン)が女性の血管を守っているからと言われています。

 すなわち、エストロゲンは、肝臓でのLDLコレステロール(コレステロールのうちの一つでいわゆる悪玉コレステロール)の代謝を促進させることで、LDLコレステロールを低下させる作用があります。LDLコレステロール値が高くなると脳卒中や狭心症や心筋梗塞の原因となる動脈硬化を進行させます。

 

 さて更年期女性が「高コレステロール血症」を指摘された場合はどうすればよいか? 一つは脂質異常症だからということで、コレステロール低下作用のあるお薬、すなわちスタチン製剤の処方を直ちに開始するという考え方があります。スタチン製剤は動脈硬化の進行を抑える薬剤という意味では強力です。もう一つには、食事や運動などの生活習慣を見直し、コレステロールが上昇する原因を可能なだけ排除していくという考え方もあります。個人的にはどちらも「あり」だと思います。

 しかし、「高コレステロール血症をきたした閉経後女性のすべてに対してスタチン製剤が必要なのか?」という疑問も浮かびます。NIPPON DATA 80(上の図表です)という日本人を対象とした疾患基礎調査の結果からは「閉経後の女性の高LDLコレステロールが動脈硬化のリスクとなるのは、「加齢」に加えて「糖尿病」「喫煙習慣」という要因が重なった場合であり、これらの要因がなく、LDLコレステロールが高いだけなら、すぐに動脈硬化や動脈硬化による心血管疾患のリスクであるとはいえないことがわかっています。くすりでコレステロールを低下させることも大事ですが、やはり食事の見直しと教育、運動の習慣化、糖尿病の原因となる肥満の改善、禁煙指導なども、同じくらいか、それ以上に重要なことだと考えています。

  

 ところで・・・・「食事療法はイヤ」、「運動は嫌い!」、「糖尿病は気にしない」、「タバコを止める気は無い」、という方はどうすればいいか? いや、どうしようもない。「だったらせめてスタチンくらいは服用してもらいましょうか」ということになります・・・。ちょっとばかりネガティブな気持ちにはなりますが・・・。

 

 まあ、スタチンが高かった時代ならともかく、いまやプラバスタチン5mg1錠の最低価格がジェネリック品で12.4円(先発品で45円)という時代。「ゴチャゴチャ考えずに処方してしまった方がよい」という、割り切った考え方もあります。なれど、スタチン服用中に「クレアチニンキナーゼ」という筋肉が壊れた時にでてくる酵素が上昇している方もいます。これは「横紋筋融解症」という怖い副作用におよぶこともあります。

 

 医師とは病気に対して適切なくすりをうまく使うというのが本来の仕事です。こと生活習慣病に関しては「生活習慣の改善」という原則を患者さんに提示教育し、それがうまくいかないときには、おくすりで補っていく・・・という当たり前のことを、当たり前にやるだけ、と考えればよいのでしょう。

 

 ブログとしては、当たり前過ぎるお話で、面白くもなんともありませんね・・・・、しかし当たり前のことができる医者になりたいと、切に思っています。


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下肢のしびれ、痛みについて


 開院して、約1ヶ月。「血管内科」と標榜して、診療をはじめてはみたものの、これまでのところ新たに「閉塞性動脈硬化症」と診断できた患者さんはほんの数人。「もっと多くの患者がいるはず・・・」と思っているのですが、まあ、これから・・・ぼちぼち・・・。

 「足が冷たい」「足が痛い」「引っ張られるような感じがする」「足がしびれる」という訴えは閉塞性動脈硬化症でよく見られる症状ですが、腰部脊柱管狭窄症、坐骨神経痛、静脈瘤なども同じような症状を来します。これらは、問診や検査で簡単にわかります。

 ところで、閉塞性動脈硬化症以外の病気が原因となるしびれ、痛みに対する治療で、整形外科的な適応がないものはどうしても薬物療法に頼らざるをえません。

 薬物療法としては、以前ですとジアゼパム(商標名:セルシン、ホリゾン)の精神安定剤を第一選択とし、カルバマゼピン(商標名:テグレトール)などを追加していましたが、最近では薬物療法も多種多様となっています。

 しびれに対する治療薬として、最近よく用いられるようになったのが、プレガバリン(商標名:リリカ)です。神経痛に対するプレガバリンは当初「帯状疱疹後神経痛」に対する治療薬として認可されました。その後「糖尿病性神経痛(神経障害性疼痛)」「繊維性筋痛症」などと適応が拡大されていき、しびれに対して有効な薬物として整形外科の先生を中心に認知されていると思います。

 大変よい薬ではあるのですが、高齢者については容量設定がなかなか困難な場合があります。有効域ではどうなんでしょうか?という印象です。(薬には詳しくない。あくまで市井の医師としての感想です。)

 先日も下肢のしびれ、慢性痛を訴えておとずれた高齢の患者さんがいましたが、少量だと効果は薄いようです。しかし、増量するとたぶんめまいを起こすこともあります。自宅でふらついて転倒したりしないかとヒヤヒヤです。かといって「しびれも痛みも我慢しろ!」とは言えません・・・。いろいろと高齢者は難しいです・・・。薬が合う、合わないはいろいろありますので、いろいろと試すことになりそうです。それでダメなら「お注射!」という方法もあります。しびれや痛みの場所にあわせていろいろな選択肢を考えていこうと思っています。


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外カテ


本日、「のだ眼科・血管内科クリニック」は午後お休みです。

わたしは開院して始めての「外カテ」の日となりました。説明しますと、「他施設の病院に出向いてカテーテル治療をおこなった」という意味です。

2カ所の施設にお邪魔して、「下大静脈フィルター回収」と「シャントPTA」という手技を行いました。

大学病院を退職してから久しぶりのカテーテル治療だったのですが、まあ無事に終わってよかったです。

それになんといってよいか、自分も楽しんでやれましたし、患者さんにもよろこんでもらえたと思います。

それが一番ですね。


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白内障手術始まりました。

昨日、「白内障」の患者さんが康子先生の手術を受けられました。日帰り手術です。

経過は順調です。

御存知の方も多いと思いますが、白内障は加齢などによって眼球の中にあるレンズ(水晶体)が白濁することで、視力が低下する病気です。

 

白内障の手術は「水晶体嚢」というレンズを包んでいる薄い皮を円形に剥がしてから、白濁した水晶体を超音波装置で分解して吸い取り、かわりに人工レンズを挿入するというものです。操作を行うために角膜の縁を切開する操作、水晶体嚢を剥が操作、水晶体を吸い取る操作、人工レンズを挿入する操作などなど、いずれもが非常に微細な操作となります。

また、その操作を行うために両手だけでなく両足を使ってスイッチを操作するなど非常に高度な操作を必要とします。

 

傍目でみているとかなり丁寧に手術をおこなっているんだ・・・と感じました。

以前、私が彼女の手術のビデオをみせてもらっていたときに話を聞いたところでは、

「早さにこだわるのでは無く、手間惜しみせずに安全に手術を行うというのが私の流儀」

ということを述べられていました。

随分長く一緒に過ごしていましたが、よくよく考えてみれば働いている彼女を間近でみるのは、開院してみて始めてだったかと思います。ふだんの彼女のあり方がそのまま診療に表れているんだなぁと感ぜられました。


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無事退院!

康子先生無事退院となりました!

まだ、いくらは腹の張りと痛みはあるようで、つらいことと思います。しばらくは養生が必要でしょう。ただ何はともあれ、無事に退院できてホッとしました。


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康子先生、まさかの虫垂炎!

7月23日土曜日ころより、かなりの腹痛ありとのことで自宅で休養をとっていた康子先生でしたが、7月25日に急性虫垂炎が判明し、即入院手術となりました。急な入院手術のため、スタッフは予約患者さんの対応に大わらわとなりました。

患者さんならびスタッフには大変ご迷惑をかけてしまいました。

 

幸い手術は無事に行っていただき、順調な回復が見込めそうなのですが、眼科休診というこの危機的状況をなんとか乗り越えなければなりません。

 

まあ、長い人生いろいろあるか・・・と腹を括るしかないです。

まずは、内科として診療を粛々とおこなうのみ。


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多くの方に支えられてきました。

本日開業となります。

これまでの間、多くの人に支えられなんとかここまでまいりました。

素敵な建物を設計していただいた工藤真人様、立派な建築に成し遂げていただきました西村組様、これまでいろいろと御助言をいただきました医薬品、医療機器メーカーの方々、そしてなによりも、スタッフの皆様。大変ありがとうございます。

また、前職の同僚の方々ならび先生方よりたくさんのお祝いをいただきまして大変ありがとうございました。

これから、より皆様のお役に立てますように、がんばって行きたいと存じます。

今後ともよろしくお願いします。

 


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準備は大丈夫?

7月2日土曜日に先輩開業医の先生が面談に来られた。

いろいろとお話しているウチに、何点か準備不足が判明。

 

(;゜○゜) ソウダッター!

 

(⌒_⌒;・・・センセイ,ホントダイジョウブ?

 

| ̄ω ̄A;・・・・ダイジョウブデスヨ・・・タブン

 

ところで本日、野立て看板が設置されたとの報告を看板屋さんからいただいた。

まあ、順調に進んでいるところもあるのだ・・・・とうことで、落ち着きましょう。

何とかなるようになるモノだ・・・と思うことにする。


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あ、看板できてました。

仕事した帰りに見たら、看板できてました。おおっ、素晴らしい。


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チラシ校正済み。コニカミノルタ複合機導入される。

 開業までとうとう2週間となりました。

開業のうわさをどこかでお耳にされたのか、患者さんからお花をいただきました。また直接病院に来られた患者さんもいました。大変ありがたいことです。とても嬉しいです。

 7月10日に内覧会を予定しているのですが、そのチラシの校正ができましたので、ご紹介します。葉っぱが両脇に描かれていますが、こういうのは好きです。

 クリニック西側面に大看板が描かれていますが、これは合成です。チラシ屋さんがうまく仕上げてくれました。こういう技術ってすごいです。

 ところで、本日午後にコニカミノルタの複合機が導入されました。本格的な装置ですので、存在感があります。これで、やっと院内でコピーがとれるようになりました。初ファクスもできました。書類のスキャン、印刷も一部可能となりました。この複合機、実はお初ではなくて、本年4月から開業準備として別の場所で使用していたものを移設しています。今日業者さんが印刷枚数を確認してくれましたが、「2000枚」だったとのこと。かなりつかいましたね。これからもいっぱい活躍してくれると思います。


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Supria grande (日立 64ch CT) すごい・・・まさに「羊の皮をかぶった狼」(古い表現ですが・・・)

昨日、本日とCT装置の説明ありました。当院のCTはいわゆる「マルチスライスCT」というタイプのCT装置です。医療機器に限らず、金をかければかけるほどよい装置を導入できるのは、この世の常ではありますが、この装置は放射線科専門医からみると、ほぼ「異常!」といえるほど、圧倒的に「コストパフォーマンス」が高い装置です。当然クリニックであるが故、設備投資の限界はありますが、大病院に導入される最新CT装置と比較しても遜色のない「すごいCT!」であります。

 

こまかくいうと、検出器が64列であるとか、逐次近似法で再構成しており被曝を低減できるとか、筐体が16列と同等であり非常にコンパクトであるとか、電源をいれてからスキャン可能となるまでの時間がたったの5分間であるとか、管球が省エネタイプで電源系への負担が少ないとか・・・さらにデュアルインジェクターおよび「テラリコン」という立体画像処理を2台も同時導入しており、さまざまな画像処理が可能であるとか、いろいろあります。

 

 このCT装置を一言で例えるならば、やはり大昔のスカイラインのキャッチフレーズ「羊の皮をかぶった狼」?

 

 というのもこのCT装置の筐体は非常にコンパクト。下位のクラスである16chのものと共通なんですね。さらには電源も内蔵されています。よって外付けハードディスクによくあるような,ボディはコンパクトなのに電源が意外とでかいということもないです。

 

 そして、スキャン機能が中規模病院のCTとほぼ同等・・・エンジンが3000ccクラスといえばわかりやすいでしょうか?

 ただ、ハイパフォーマンスであるが故にファンの音が若干大きいのが唯一の欠点かもしれません。

 

 実際の体幹部の単純検査では10秒とかからず、左右、前後、上下方向ですべて同等の分解能を有している・・・というのはもの凄いことです。

 

  しかーし、性能がよろしいということと、お上の認める「診療報酬」は別モノというのが面白いところ。

 

 当院はクリニックであるという性格上、このCTは診療報酬上は64列CTとは認定されず、16列CTに区分されます。検査を受ける側からすると支払いは安く済むという利点(欠点?)があります。

 

 大病院とほぼ同等の装置で検査を受け、被曝は少なく、放射線診断専門医が読影して報告書がつき、さらに画像診断加算も加算されない。なんとお得なことでしょう・・・(´Д⊂グスン。 ・・・・というか、ある意味日本って凄い。

 

 ということで、当院のCTくんは「羊の皮をかぶった狼」ではありますが、「羊の皮をかぶった腹ペコ狼」といった感じです。

  

   ワォーーーーン

  (\__/)

  > 。 。<

  (  ヾヽヽ

  / \_▼ノ

 | (゚Д゚)

 |(ノ  |)

<人 ノノ

 

  ∪ ∪



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バランスが大事だと思う。

先週より電子カルテ、レセコンといったコンピュータを取り扱う研修が始まり、眼科と内科の色分けがでてきました。今週に入ってからは、眼科チームはコンタクトレンズ研修、内科チームはCT、X線機器の研修が始まるなど、どちらおいても専門性の高い研修となってきました。今後、眼科は眼科検査機器の研修、内科は検体検査や生理検査の研修が加わるなど、更に研修の分化が進んできます。全体の統一感を得るのが次第に難しくなってくるのではないかと懸念されます。

これまで座学が中心で医療医学の勉強だったのが、1.電子カルテ、レセコンの研修、2.医療機器の研修、3.患者さんへの接遇の研修、シミュレーション、4.備品の選定と搬入、納品物の整理などが重なり、ひとつのことに集中できなくなってくると思います。

バランスが大事と思いますけれど、ここががんばりどきです。

 

なお、本日より、CT研修の際に診療放射線技師の3名が見えられました。全員が揃っての初めての研修となりました。

 

ところで、クリニック西側の壁に設置する予定の看板の原案がきまりました。

この看板だとふくろう君も居心地がよさそうに感ぜられますね。

 

 


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6月20日月曜日よりクリニック内での研修がスタートしました。

 

6月20日月曜日よりクリニック内での研修がスタートしました。当院は電子カルテを導入していますが、電子カルテに触れるのは始めてという方もいます。また眼科と内科の電子カルテの会社がそれぞれ別々であるために、2つの電子カルテがひとつのレセプトコンピュータ(レセプト(診療報酬明細書)を作成するコンピュータの事を指す。一般的にはレセコンと略される)と連動する・・・という若干複雑なシステムとなっています。眼科カルテについては「難しい」という話もあれこれ聞かれます。また医療事務の方の話では日本医師会制作のレセコンであるオルカに触れるのは始めてということでした。しかし、 一般的な病院ではレセコンとしてのオルカはあまりメジャーではないとうことが驚きでした。

 

 

火曜日には冷蔵庫、テレビと電子レンジが導入。木曜にはカーテンや棚が装着されるなど次第次第に人のいるスペースが出来てきました。



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総合学習センターでの研修会も残すところもあと2日間。


 

本日は午前が眼科、午後が内科系の研修会でした。今日は若干早めに終了。総合学習センターでの研修会もあと残すところも2日間となりました。座学中心の毎日からやっと開放ですね。来週からはクリニックで電子カルテの実習となります。もう少しです。



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6月10日に弘前保健所に開設届を提出しました。

 

6月10日に弘前保健所に開設届を提出しました。6月13日に立入検査があり、チェックされた部分を訂正。本日保健所長の認可印を押印された書類をいただき青森厚生局に保険診療の申請を提出いたしました。後日の会議で審査が通れば、保険認可施設として登録されるようです。今後は大きなものとしては建物の登記が残っています。それにしても、なんとか開業の第一歩が始まりほっとしています。


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職員研修の始まり


本日より職員研修を開始します。場所は総合学習センター@末広です。

採用面接もここで行いました。スタッフにとってはある意味で思い出の場所?

会場に到着すると、スタッフの多さに一瞬たじろぎましたが、司会者がうまく誘導してくれて助かりました


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