インフルエンザと漢方


 お久しぶりのブログ更新。当院は堂々と「血管内科」と標榜してますが、「血管しか診ない!」というわけではありません。

 むしろ、いろいろな患者さんの疾患を診療しつつ、隠れている血管病を発見したいという気持ちが強いです。なので、むくみやこむら返り、風邪、頭痛、腹痛、胸やけ、めまい、認知症、生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常、痛風など)の治療、陥入爪、水虫、創傷の管理、はたまたCT検査の読影、更には漢方治療なども喜んでやっています。

 

 ところで漢方治療についてのお話です。

 最近、弘前でも流行の兆しのインフルエンザ。当院ではイナビルという抗ウィルス剤を第一選択にしていますが、更に服用できる人には漢方薬もお出ししています。 インフルエンザに漢方?といぶかしがる方もいらっしゃるかとは思います。

 

 「漢方はインフルエンザに効くのか?」・・・・「かなり効ます。」

 

 漢方での風邪の治療法として特徴的なものが、「病因がからだのどの部分にまで侵入しているかによって細かく治療ができる」というところにあります。

 

もし、不幸にしてインフルエンザウイルスに感染して発症したら、経過は以下のようになると思われます。

1日目:悪寒・筋肉痛・関節痛・倦怠感 から始まり、熱が急に上がる。

2日目:高熱。頭痛・関節痛・筋肉痛が本格化。時に鼻詰まり。

3日目:そして大量の発汗後に、高熱が一時的に平熱~微熱になる。(ここまでが全身症状)

頭痛のピークが過ぎる。ここから、遅れて咳が出始める。その後、のどの痛み、大量の鼻汁。

4日目:また熱が上がり、咳のピーク。咳払いが多くなる。(局所症状)

5日目:解熱。(ただし、解熱後2日は外出禁止)

6日目:咳・倦怠感の残りがひどく、息がしにくい。

7日目~数週間:咳が残っている。これは、治ってからも数週間まで続く。

 というところでしょうか?

 インフルエンザの症状は全身症状から呼吸器症状、そして消化器症状などへと刻々と変化し、その後ダラダラとした咳や全身倦怠感で自然に回復していきます。

 

 以上インフルエンザの漢方では治療時の投薬は実に多彩です。症状の変化に応じて治療薬が変わるからです。

 寒気、関節痛、筋肉痛の時期には「麻黄湯」、「越婢加朮湯」

 発汗後に熱が引けてきたら、「桂枝湯」、「麻杏甘石湯」

 のどの痛みには「桔梗湯」「小柴胡湯加桔梗石膏」

 残る咳には「桂麻各半湯」、「竹じょ温胆湯」、「麦門冬湯」「滋陰降火湯」

 鼻汁には「小青竜湯」

 病後の全身倦怠感には「補中益気湯」

 

 などなど、複雑ですが、インフルエンザの経過に合わせて細かく用法を変えていくことで、非常に早く健常な状態に持っていくことが可能です。 

 

  インフルエンザを初めとして風邪にかかると、なぜ寒気がして体温が上昇するのかというと、これはウイルスに対する防御反応と考えられています。体温を上昇させることにより免疫機能を活性化させウイルスをやっつけるためです。(これとは、逆に体が冷えると感染に弱くなります。体を冷やすな!とよく言われますね)

 

 一般に麻黄湯や葛根湯、麻黄附子細辛湯という漢方薬は体温を上昇させる作用があり、体に入ってきたインフルエンザをやっつける手助けをしてくれます。また、「麻黄湯」は、実験室においてもインフルエンザウイルスそのものを増殖させない効果があるといわれています。

 

 治療論について漢方と西洋薬とを比較します。

 西洋薬ではインフルエンザウイルスそのものに働きかける薬を処方します。すなわち抗ウイルス剤です。もしウイルス自体がその薬に対して抵抗性を持てば新しい薬が必要となります。

 しかし、漢方薬では身体の免疫反応を調整することにより、治癒を早めようとします。この方法ならば、抗ウイルス剤耐性株のウイルスでも対応できますから、いつでも同じ薬で大丈夫ということになります。

 臨床の現場では、両方をうまく使うことがよい治療につながると考えています。

 

 自験例です。

 漢方を覚えたてのころの話ですが、以前の病院で当直していた時のお話です。ある晩、午後8時頃に急激な発熱(39度)と寒気を訴えて、同僚の姉妹(20歳代女性)が救命室に訪れました。迅速検査であっという間にインフルエンザ陽性と判明したため、タミフルを処方することとしました。「絶対休めない!なんとか、早く治したい~~!」と救命室で叫んでいました。

 その時に、背中に触りまだ発汗していないことを確認できたので、「麻黄湯」を処方に付け加えて返しました。「熱がひけて体調がよくなっても会社に出てはダメですからね~!」と一言添えて・・・

 

 後日「どうなった?」話を聞くと、その後夜間にかけて大量に発汗。翌日には熱が引けてしまった。そして体調も十分に良くなったのでそのまま会社にいってしまったそうです。(・・・オイオイ!)

 

 クリニックを開院してから、インフルエンザの患者さんを診ることがたびたびあります。

漢方名医である、井齊偉哉先生(北海道日高郡の静仁会静内病院院長)に教わったことをそれなりに工夫しながら、漢方薬を処方しています。

 

 もちろん、漢方がダメだという方にはお勧めはしませんが、西洋薬でウイルスを攻撃し、漢方薬で守りを固めるという、2つの効果による治療が効果があるようです。漢方薬が大丈夫な方には是非とも、漢方薬でインフルエンザに立ち向かっていただきたいと考えています。

よろしくお願いします。


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コメント: 1
  • #1

    破壁霊芝胞子粉 (火曜日, 24 4月 2018 15:33)

    漢方薬は長くのみ続けなければ効かないというお考えがありますが、そうではありません。「体質改善」に使う薬の多くはそうですが、中には直ぐに効果を示す薬もあります。<br>
    漢方治療では、体質と病気の進み具合(「証」と言います)を考慮して薬を処方します。西洋薬と同様に病名だけで使えるものもありますが、多くは「証」に合わせて投与することになります。<br>
    そのため、副作用は現れにくくなっています。また、妊娠中でも安心して使える薬もあります。<br>
    西洋医学と東洋医学にはそれぞれ長所・短所がありますが、それを踏まえて上手に使い分けていくことができます。<br>
    例えば、野生黒霊芝(レイシ)を聞いたことがあるでしょうか。それでは、この<a href="http://www.kanpou.cn/goods-928.html">破壁霊芝胞子粉</a>というものを聞いたことがあるのですか。<br>
    破壁霊芝胞子粉とは身体への吸収をよくするため、胞子の外殻を細かく砕く「破壁」という最新の技術で作られたもので主成分の霊芝胞子は霊芝のエッセンスと言われ、霊芝が成熟するころ菌傘に現れる褐色の粉末のことです。<br>
    また、単独の黒霊芝(レイシ)あるいは破壁霊芝胞子粉は薬品として治療することは少ないです。通常は食べ物として療養保健に用いられることもあるので、漢方には「食療」ということです。処方薬(色々な漢方生薬が一緒に使用する)しか薬品として治療していないのです。