こむら返りの治療と予防|のだ眼科・血管内科クリニック

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こむら返りの治療と予防

更新 2016.09.25

こむら返りについての続き

さて、こむらがえりが発症したときはどのようにするか、発症時の対応についてです。

1.まずはアキレス腱を伸ばし、その後マッサージを行う

アキレス腱はゆっくりと伸ばすようにします(痛みのためにゆっくりと伸ばせないかもしれませんが・・・)。伸ばすのは、収縮し続ける筋肉を緩めるのが目的なので、腱紡錘と筋紡錘の働きを考えると、ゆっくりが原則。筋肉への急激な刺激は筋紡錘の働きを弱めることにはならず、かえってダメージを強くしてしまいます。伸ばしたあとはマッサージを行います。

足先をつまんで伸ばす
タオルを引っかけて伸ばす
壁に押しつけて伸ばす

2.芍薬甘草湯を内服する

芍薬甘草湯は急性の痛みに用いられる漢方薬で、横紋筋と平滑筋のどちらの筋肉の収縮も緩める働きがあります。横紋筋については筋弛緩薬と同等、平滑筋については抗コリン薬(いわゆるブスコパン)などと同程度の効果があります。

芍薬甘草湯の芍薬に含まれる「ペオニフロリン」という成分は、筋肉が収縮するために必要なカルシウムの細胞内流入を減らし、結果として筋肉の収縮を押さえると考えられています。また、抗炎症作用あるいは血小板凝集を抑制することにより血流促進作用を持つと考えられています。 また甘草に含まれる「グリチルリチン」は、カリウムイオンの週出を増やすことで、最終的に神経筋シナプスのアセチルコリン受容体に作用し、筋弛緩の働きをもつとされています。

これらの作用により、筋痙攣を急速に緩解させる作用があると考えられます。

芍薬甘草湯は、一日一包二週間くらいであれば、問題ないと言われていますが、大量長期連用によって「グリルリチン」が体内のコルチゾール代謝を阻害して偽アルドステロン症を発症することがあります。これは低カリウム血症を来たし、浮腫みや高血圧の原因となり実際に血圧上昇を認めることもあります。さらには横紋筋融解症を来すこともあるようなので、このようなことが起こらないように服用される人への注意が必要です。

こむらがえりの予防としては以下のものが挙げられます。

予防

1.ウォーキング(歩行によりこむらを刺激しておく)

2.寝る前にアキレス腱を伸ばす。マッサージする。

3.足首を伸ばして寝ない(横向きで寝る、重い布団を避ける)

4.原因の排除(内服薬の中止~変更、禁酒)

5.芍薬甘草湯(眠前に一服) 長期的には八味地黄丸あるいは牛車腎気丸

6.ダントロレン(ダントリウムカプセル)筋弛緩薬

7.ビタミン剤、カルシウム、マグネシウムなどの摂取

8.メキシチレン(メキシチールカプセル)不整脈薬

9.抗てんかん薬、抗不安薬

といったところですね。