漢方のこと


 インフルエンザを含め、風邪には漢方が良く効きます。

 

 漢方での風邪の治療法として特徴的なものが、「病因がからだのどの部分にまで侵入しているかによって細かく治療ができる」というところにあります。

 

もし、不幸にしてかぜウイルスに感染して発症したら・・・、特にインフルエンザでの経過は以下のようになると思われます。

1日目:悪寒・筋肉痛・関節痛・倦怠感 から始まり、熱が急に上がる。

2日目:高熱。頭痛・関節痛・筋肉痛が本格化。時に鼻詰まり。

3日目:そして大量の発汗後に、高熱が一時的に平熱~微熱になる。(ここまでが全身症状)

頭痛のピークが過ぎる。ここから、遅れて咳が出始める。その後、のどの痛み、大量の鼻汁。

4日目:また熱が上がり、咳のピーク。咳払いが多くなる。(局所症状)

5日目:解熱。(ただし、解熱後2日は外出禁止)

6日目:咳・倦怠感の残りがひどく、息がしにくい。

7日目~数週間:咳が残っている。これは、治ってからも数週間まで続く。

 というところでしょうか?

 インフルエンザの症状は全身症状から呼吸器症状、そして消化器症状などへと刻々と変化し、その後ダラダラとした咳や全身倦怠感で自然に回復していきます。

 

 以上インフルエンザの漢方では治療時の投薬は実に多彩です。症状の変化に応じて治療薬が変わるからです。

 寒気、関節痛、筋肉痛の時期には「麻黄湯」、「越婢加朮湯」

 発汗後に熱が引けてきたら、「桂枝湯」、「麻杏甘石湯」

 のどの痛みには「桔梗湯」「小柴胡湯加桔梗石膏」

 残る咳には「桂麻各半湯」、「竹じょ温胆湯」、「麦門冬湯」「滋陰降火湯」

 鼻汁には「小青竜湯」

 病後の全身倦怠感には「補中益気湯」

 

 などなど、複雑ですが、症状の経過に合わせて細かく用法を変えていくことで、非常に早く健常な状態に持っていくことが可能です。 

 

  インフルエンザを初めとして風邪にかかると、なぜ寒気がして体温が上昇するのかというと、これはウイルスに対する防御反応と考えられています。体温を上昇させることにより免疫機能を活性化させウイルスをやっつけるためです。(これとは、逆に体が冷えると感染に弱くなります。体を冷やすな!とよく言われますね)

 

 一般に麻黄湯や葛根湯、麻黄附子細辛湯という漢方薬は体温を上昇させる作用があり、体に入ってきたインフルエンザをやっつける手助けをしてくれます。また、「麻黄湯」は、実験室においてもインフルエンザウイルスそのものを増殖させない効果があるといわれています。

 

 治療論について漢方と西洋薬とを比較します。

 西洋薬ではインフルエンザウイルスそのものに働きかける薬を処方します。すなわち抗ウイルス剤です。もしウイルス自体がその薬に対して抵抗性を持てば新しい薬が必要となります。

 しかし、漢方薬では身体の免疫反応を調整することにより、治癒を早めようとします。この方法ならば、抗ウイルス剤耐性株のウイルスでも対応できますから、いつでも同じ薬で大丈夫ということになります。

 臨床の現場では、両方をうまく使うことがよい治療につながると考えています。